経団連くりっぷ No.113 (1999年11月25日)

駐日トルコ大使 今井会長訪問/11月2日

トルコへの募金のお礼と被災状況を報告

−バシュクット駐日トルコ大使が今井会長を訪問


8月17日に発生したトルコ北西部大地震は、トルコ国民と同国経済に深い傷痕を残した。経団連は、8月末に見舞金を贈り、さらに9月より経済4団体による募金を実施、目標の1億円を上回る義援金を得た。今般バシュクット駐日トルコ大使が、トルコ経済の現状と復興状況について報告するため来訪した折に、今井会長からお悔やみの言葉を伝えるとともに大使に募金への協力企業のリストを手交した。

バシュクット大使

バシュクット大使発言要旨

今次大地震は、トルコに大きな影響をおよぼした。多くの国が物資や資金を提供してくれたが、日本からは政府のみならず経済界からも大きな支援を得た。駐日大使としても、また一トルコ国民としても、日本企業のご支援に感謝に意を表したい。

今次震災はトルコが76年前の共和制施行以来、最大の被害をもたらした。死者は1万7,000人を超え負傷者も4万5,000人を上回った。被害が集中した北西部3州ではGDPの6%、工業生産の12%が影響を受けた。

これまで政府は、IMFのモニタリングの下でインフレ抑止政策をとっていた。具体的には、1998年から3年間で財政状況の改善、公共支出の抑制、金融政策と通貨政策の調和、銀行法改正、年金改革、第3国における商事仲裁を可能にするための憲法改正の実施等をめざしていた。IMFは、わが国政府の努力を高く評価していた。今次震災により、これら政策の変更を余儀なくされるが、国会は震災後1週間に年金改革法を通過させた。震災復興のための財政支出増と短期的な税収の落ち込みは避けられまい。

1995年から1997年の3年間のGDP成長率は平均7%だったが、1998年にはロシアの経済危機等の影響を受けて3.8%に低下した。IMFとわが国政府が発表した1999年以降の成長率は、1999年に0%と大きく落ち込むものの、2000年に3.1%、2001年に4.5%、2002年には6.2%と増大していくものと予測している。

現在、IMFと今後の3年計画の見直しを鋭意おこなっている。国際社会の支援を得つつ、わが国政府は、必ずや危機的状況を克服すると確信している。国内復興需要をはじめ、旧ソ連の中央アジア諸国やコーカサス諸国、東欧・バルカン半島諸国におけるビジネスのゲートウェイとしてトルコは地政学的にも重要な位置を占めており、日本企業が参入しうる余地は大きい。日本企業には、トルコの将来性を見極め、今後とも積極的に進出してほしい。

可能であれば、年内にも次回の日本トルコ合同経済委員会を開催し、これら互恵的なテーマを取り上げ検討してもらいたい。


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