財政制度委員会 企画部会(部会長 中原 眞氏)/10月27日
財政制度委員会 企画部会では、10月27日、京都大学経済学部の吉田和男教授を招き、地方財政のあり方について、説明をきくとともに懇談した。
国から地方に移転する地方交付税は、地方が必要と考えられる財政需要(基準財政需要)から地方が得る税収の一定部分(基準財政収入額)を控除して算定される。
しかし、この仕組みの下では、企業誘致などによる増収を行なっても、その大部分が地方交付税の削減となることとなり、地方公共団体にとって、税収を増加させようというインセンティブが湧きにくい。
地方交付税制度は、導入時、過渡的なものと考えられていた。歳出は、当初は毎年伸びていくものの、シビル・ミニマムが達成された時点で伸びは止まる一方、歳入は経済の成長にしたがって伸び、いずれ歳入が歳出を上回ることとなるという考え方である。
しかし、現行の地方交付税制度の下では、財源が余るようになると、基準財政需要の項目を増やしてきており、その結果、地方財政が膨張しているのが実態である。また、基準財政需要の項目は、自治省が決めており、当事者以外のチェックを受けていないことは問題である。
地方と国の仕事を分けることが重要である。日本では、国が全ての分野に関与し、実質的な地方自治は行なわれていない。
また、法人課税を地方税から外し、個人所得税を比例税とすべきである。これにより、法人の事業所の偏りによって税収の格差が生じたり、住民の平均収入の差以上に税収の格差が広がることはない。
その上で、地方公共団体がどのような水準の事業を行なうかは、負担の水準との比較衡量で決めることとすべきである。
また、現在3,300ある市町村を200程度とし、これらの基礎自治体は調整機関としてブロックを組織し、これが財政移転等を行なうこととすべきである。