経団連くりっぷ No.113 (1999年11月25日)

情報通信ワーキング・グループ第5回会合(座長 立花 宏 常務理事)/10月26日

情報通信市場の活性化に向けて法制の整備を


情報通信ワーキング・グループでは、第5回会合を開催し、在日米国大使館のローレンス・グリーンウッド経済担当公使より、日本の電気通信市場の改革に向けた米国政府の要望について説明をきくとともに懇談した。

グリーンウッド公使説明要旨

  1. 通信自由化の経済への波及効果
  2. 米国で情報通信市場が活性化したのは、既存事業者ではなく、利用者の利益を重視した通信政策へと転換したことによる。情報通信産業の発展が、米国経済に非常に大きな役割を果たしており、情報通信産業が経済成長の1/3に寄与している。
    雇用面においても、1993〜98年にかけて、通信サービス・機器・データ通信分野では80万人以上、通信サービスに限っても20万人以上の雇用を創出している。さらに情報通信産業に何百億円以上もの新しい投資を呼び込んだ。GDPに占めるインターネット取引の割合は現在約2.5%程度であるが、今後、その伸び率は非常に高くなると予想される。

  3. 日本の情報通信法制のあり方
  4. 情報通信市場の活性化は、全ての産業・経済へと波及する。日本の通信市場の活性化は、日本経済のみならず、米国・世界経済にも大きな利益を与える。日本でも、米国と同様の政策・仕組みを導入すれば、情報通信市場が活性化するだろう。

    1. まず、法の目的として、消費者の利益の向上のための競争促進を図ることを掲げるべきである。

    2. 支配的事業者に対してのみ、接続料金や接続条件、線路敷設権やアンバンドルなど、規制上のセーフガードを設け、 新規参入者に対しては、約款や接続協定の認可義務の廃止など、できるだけ規制を課すべきではない。支配的事業者は、回線の所有率ではなく市場支配力・マーケットシェアで決められるべきである。米国では原則として50%以上のマーケットシェアを有する事業者を支配的事業者として扱う。

    3. 2000年4月1日で、長期増分費用に基づく接続料金を導入すべきである。現時点での長期増分費用算定モデルは、減価償却期間が短く設定されているなど、改善が必要である。また、競争を阻害しないように通信料金と接続料金を設定すべきである。

    4. 管路、とう道などへのアクセスを透明、被差別的、かつコストベースで提供することを義務づけるとともに、高速道路を含む道路や橋などの公共空間の利用促進に向けて、アクセス・回線敷設が可能となるように規制緩和を行なうべきである。さらに、民間が所有しているビル・建物の屋内への回線敷設に関しても、接続と同様に公正なルールを設ける必要がある。


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