経団連くりっぷ No.113 (1999年11月25日)

情報通信ワーキング・グループ第6回会合(座長 立花 宏 常務理事)/11月5日

電気通信改革により通信市場の法制化が進むドイツ


情報通信ワーキング・グループでは、第6回会合を開催し、早稲田大学政治経済学部の縣(あがた)公一郎 教授より、ドイツの情報通信政策・法制の現状について説明をきくとともに懇談した。

縣教授説明要旨

  1. ドイツにおける電気通信政策の概要
    1. ドイツでは、スケジュールを明示しつつ、1989年の第1次改革から1998年まで、3次にわたって漸進的に電気通信改革が行なわれた。この間、1998年に、郵電省が廃止され、経済技術省の電気通信郵便局と、同省の外局としての電気通信郵便規制庁という形で、政策立案機関と実施機関とが分離された。

    2. 事業免許は、ネットワーク敷設と音声通話サービスを対象として、4種に分類されているが、免許を組み合わせて取得できる。新規参入は活発であり、1999年10月現在で、第3種免許(固定ネットワーク事業者)は287社、第4種免許(音声通話サービス事業者)は223社に免許が付与されている。
      また、新規事業者による光ファイバー敷設も活発で、1999年にはドイツテレコム以外の事業者による敷設率は3割を越えると予測されている。

    3. 外資規制はもともとない。料金については、基本的にプライス・キャップ規制が行なわれている。

    4. 音声通話サービス、電話帳の発行、電話ボックスの設置などの5事業がユニバーサル・サービスとして規定されている。
      規制官庁が、国民へのサービスの状況を判断し、サービスが不備であると判断した場合、免許を受けた事業で4%以上のシェアを占める事業者、あるいは地域市場シェア33%以上の事業者が提供義務を負い、赤字部分は全事業者が共同負担する。

    5. 相互接続義務は、33%以上の電気通信市場シェアを有する全事業者に課せられる。また、全事業者は接続交渉義務が課せられており、交渉が不調の場合には規制官庁が裁定する。接続料金はネットワーク別に明確に設定されている。

  2. 規制官庁の役割〜ユニバーサル・サービス確保と競争の促進
  3. 電気通信行政の役割は、ユニバーサル・サービスの確保と、通信市場における競争促進(接続交渉の義務化や交渉の仲裁など相互接続のための規制等)という、相反する政策の実現であり、規制官庁は両者に特化した政策を行なうべきである。


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