経団連くりっぷ No.114 (1999年12月9日)

産業技術委員会・産業問題委員会合同委員会/11月10日

次期科学技術基本計画の検討はじまる


産業技術委員会と産業問題委員会は、合同委員会を開催し、科学技術庁の青江茂 科学技術政策局長より、次期科学技術基本計画の検討状況等について説明をきくとともに、意見交換を行なった。

青江局長説明要旨

  1. 現行科学技術基本計画とその進捗状況
  2. 現行科学技術基本計画は、研究環境を柔軟かつ競争的にし、産学官の研究開発能力を引上げ、研究成果を国民、社会、経済に還元することを目的とし、1996年7月に閣議決定された。本計画では、新たな研究開発システムの構築のために、任期付任用制の導入、ポスドク1万人計画の推進、厳正な評価を実施することとし、また、平成8〜12年度の計画期間を通じて、総額17兆円を投入することを目標とした。
    本計画の策定と、これに基づいた施策の展開により、政府研究開発投資の増大など科学技術全般のレベルアップが図られた。しかし、大学等研究施設設備の老朽化・狭隘化、情報通信基盤・知的基盤整備の不備などの課題が残されている。

  3. 最近の科学技術の状況
  4. 日本の研究論文は、世界的にみて、量的には増加しているが、引用される頻度は低く、質的には改善の余地がある。
    技術力についても、ライフサイエンス、情報科学技術などの主要分野において、日米間の技術格差は依然大きい。
    競争的な研究環境の構築のためには、研究人材の流動性を図ることや競争的資金の拡充が不可欠である。しかし、現状では、任期付任用制は研究者社会全体に定着しておらず、わが国の政府研究投資に占める競争的資金の占める割合も、英米と比較して、非常に低いレベルにあり、今後、その拡充が必要である。
    一方、産学官連携の促進のため、国立大学教官の兼業許可の緩和、「大学等技術移転促進法」の制定等制度改正が行なわれたが、産業界のニーズと大学・国研のシーズのマッチングには、依然改善が必要である。
    今般決定されたミレニアム・プロジェクトは、情報化、高齢化、環境対応の3分野、計8テーマからなり、総理のイニシアティブの下に産学官共同プロジェクトとして推進され、その成果が期待される。

  5. 次期科学技術基本計画の検討状況
  6. 現在、科学技術会議は、次期科学技術基本計画の策定に向けて、「知的存在感のある国」「安心、安全な生活ができる国」「国際競争力のある国」という目標を設定し、重点科学技術の戦略的策定と推進、知的基盤・研究システム整備、産業技術力強化に向けた方策の検討を行なっている。
    次期科学技術基本計画は、平成12年度中に科学技術会議に諮問、答申がなされ、閣議決定される予定である。
    なお、引き続き次期基本計画に対する提言「科学・技術開発基盤の強化について」(案)が審議され、了承された。(10頁参照)


くりっぷ No.114 目次日本語のホームページ