経団連くりっぷ No.114 (1999年12月9日)

サービス貿易自由化協議会(議長 槙原 稔 三菱商事会長)/11月19日

世界のサービス産業関係者との意見・情報交換を強化

−米国サービス産業連盟(CSI)主催「世界サービス会議」の模様を報告


11月1日から3日まで米国アトランタにおいて開催された「世界サービス会議(WSC)」に、53カ国の産業界、政府、学界より700名以上が参加した。サービス貿易自由化協議会を代表して参加した同協議会の槙原議長他による報告会を行なった。同会議ではWTOの次期サービス交渉の課題を中心に活発な情報・意見交換が行なわれた。

  1. 槙原議長報告概要
    1. WSCでは米国サービス産業連盟(CSI)が次期サービス交渉をリードしようとの姿勢を強めていることを改めて感じた。こうしたなか、わが国からも当協議会関係者17名が出席し、さまざまな場で積極的に発言を行なうことでプレゼンスを示すことができた。

    2. 全体的に(1)サービス貿易の一層の自由化の重要性、ならびに次期交渉における(2)サービス分野の国内規制への競争促進的規律の導入の必要性、および(3)電子商取引の発展への対応の緊急性が強調された。

    3. 「日本の回復とサービス産業の機会に関する分科会」の議長を務め、日本の経済構造の変化やサービス分野の規制緩和、それに伴う外国企業の参入機会の拡大等を強調した。

    4. WSC開催の前日、CSIの提案により、世界のサービス関係者がサービス貿易の自由化を進めていくための組織として、グローバル・サービス・ネットワーク(GSN)が発足した。設立趣意書を巡る議論では、GSNを各国政府に対するロビー活動のための組織とするといった当初案に、欧州と共に反対し、サービス貿易に関心を持つ個人による情報交換のためのネットワークとすることに成功した。

    5. 今後、GSNが次期サービス交渉に一定の役割を果たすことは間違いなく、当協議会としても、関与のあり方を慎重に見極め、そこでの議論をモニターしていく必要があると考える。

  2. 楠川徹特別顧問(富士総合研究所特別顧問)報告要旨
    1. 二国間交渉と異なり多国間交渉では準備段階からの積極的発言が重要であり、黙っていると賛成したと見なされることになる。

    2. 金融関係者によるフィナンシャル・リーダーズ・グループの会合では、政府と民間が率直な意見交換をしていたが、特に米国政府代表が、今後の交渉について民間からの積極的な問題提起を促していた。

  3. 鳴戸道郎委員(富士通副会長)報告要旨
    1. シアトル閣僚会議の際にも、並行して開催されるさまざまな民間の会合の結果が政府間交渉に強く反映されるはずである。わが国も、政府と産業界の連携を強化する必要がある。

    2. 電子商取引の関係では、映画等の取引に関する規定の分類問題や関税のモラトリアムの問題が議論された。電子商取引はあらゆる分野に関わる重要な問題である。今後も注視していく必要がある。


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