厚生年金基金(以下「基金」)制度は、1966年に創設された。この制度は、公的年金である厚生年金の報酬比例部分の一部(代行部分)と、本来の企業年金部分である加算部分を組み合わせ、一体のものとして運営するものである。このように、代行部分は公的年金の性格を有しているために、その給付水準や最低責任準備金、予定利率など制度の骨格はすべて国が決めている。
さらに、代行部分のための保険料の算定が、将来にわたって一定の新規加入があることを前提としているため、実際の加入員数が減ってくると、基金財政は大きな影響を受けることになる。
低成長・低金利が続き、企業の組織形態が大きく変化しつつあるなかで、企業年金の一部として公的年金である代行部分を継続していくことが困難になっている。そこで、経団連では代行部分の返上の選択を求める提言をとりまとめた。(提言の概要は6頁参照)
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