経団連くりっぷ No.115 (1999年12月22日)

玉沢徳一郎 農林水産大臣との懇談会/11月22日

今後の農政


「食料・農業・農村基本法」が制定されるなど、農林水産基本政策の見直しが本格化し、また、次期交渉の枠組みを決めるシアトル閣僚会議が間近に迫る中、農林水産省からの申し入れにより、玉沢大臣以下、農林水産省幹部との懇談会が開催された。

  1. 玉沢農林水産大臣挨拶
  2. 先般制定された「食料・農業・農村基本法」は、今後の農政の基本指針を示したものであり、現在、その具体化に取り組んでいる。また、林野、水産政策についても、経済社会情勢の変化を踏まえた基本政策の見直しを進めているところである。
    WTO次期交渉については、公平で公正な貿易ルールを確立することが基本である。そのため、わが国と同様の立場に立つ国々とも協調しつつ、交渉においては、農業の多面的機能や食料安全保障などWTO農業協定第20条に基づく非貿易的関心事項や林野・水産分野における再生可能な天然資源の持続的利用への配慮がなされるようわが国の立場を主張していく。

  3. 懇談要旨
  4. 経団連側:
    農業経営の法人化に向けた法整備が必要である。また、食料自給率向上のため、産学官をあげたバイオ等の技術開発の推進が必要である。
    農水省側:
    農地の投機的取得を防止する手だてを講じた上で、株式会社を認める考えである。食料自給率向上には、技術開発とあわせ、農地の確保、耕作放棄の防止等が重要である。

    経団連側:
    輸入品に対抗できる国産乾燥杉を供給できるよう技術開発を推進するべきである。また、地域単位で木材関連企業のグループ化を推進するべきである。生産性の向上のため、生産林と保安林等を区別する必要がある。
    農水省側:
    山林の公益的機能の維持の観点から林政に取り組む考えである。特に除間伐された木材の利用促進が重要と考えている。

    経団連側:
    次期WTO農業交渉に関して、各国と共同歩調をとりながら進めるべきである。また、GMO(遺伝子組換え体)対策には、慎重を期すべきである。
    農水省側:
    協定第20条に基づき、非貿易的関心事項につき主張していく。交渉に向け、国論の統一が重要である。経済界も農業の役割を理解してほしい。GMOについては、安全性と表示の基準づくりに取り組む考えである。

    経団連側:
    自給率目標は国民の理解の上で設定すべきである。また、「自給力」の向上に取り組むべきである。
    農水省側:
    ご趣旨も踏まえ、検討していく。

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