経団連くりっぷ No.115 (1999年12月22日)

アブドラ・ヨルダン国王歓迎昼食会(経済5団体共催)/12月2日

経済的自立を目指す中東和平の中心国ヨルダン


ヨルダンでは、1946年の独立以来、数次にわたる中東戦争で経済が疲弊している。しかし同国は、中東において優秀な人材を輩出する国として有名であり、かかる人材を梃子に経済の再建自立を目指している。このたび経団連は、日商、日経連、経済同友会、日本貿易会とともに、本年2月に崩御したフセイン前国王から王権を継承したアブドラ国王の国賓としての来日を歓迎し、昼食会を開催した。

アブドラ国王発言要旨

私は、国王に就任して以来、経済の自由化に取り組んできている。まずは経済関係の法制度の改革に取り組んでいるが、もちろん、ヨルダン1国でなしうる事業ではない。日本政府が国づくり支援の一環として派遣した専門家は、行政機構そのもののありかた、官民協力のありかた、そして労働界との関係のありかた等について、幅広い助言を行なってくれた。日本の協力無しに、今日のヨルダンの改革はないといっても過言ではない。現在の改革努力は、世銀・IMFをはじめとする国際機関から極めて高い評価を得ており、その結果として、現在申請中のWTO加盟も早期に認められよう。日本からの支援に応えるためには、いずれヨルダンが経済的に自立し、困難に直面している国々に対して日本とともに支援していくことが恩返しになると考えている。

今一つ、日本に恩返しができるとすれば、改善しつつあるヨルダンのビジネス環境を活かして、日本企業に利益をあげていただくことである。日本企業の進出を期待する分野は、観光業、鉱業、医薬品製造販売、そしてハイテク産業である。とくに情報通信ならびに電子産業に占める日本の優位を確信しており、デジタル化技術を有する企業のヨルダン進出を希望する。

ヨルダン人技術者は優秀であり、労賃も安い。大学卒業後米国に留学して帰国したコンピューター技術者の初任給は、月額200ドル程度に過ぎない。既に米国モトローラ社は、半導体や基本ソフトウェアの製造拠点をイスラエルからヨルダンに移転している。中東に恒久和平が訪れた暁には、イスラエルの企業が3万人から4万人のヨルダン人エンジニアを雇用したいという話もある。またヨルダン人技術者の殆どが英語とアラビア語に堪能であり、多くのソフトウェア開発会社が、ソフトウェアのアラビア語化の拠点にヨルダンを選択している。

ヨルダンはEUと自由貿易協定を締結しており、現在米国とも同様の協定の締結を目指して交渉中である。大きな後背市場を抱えるヨルダンのビジネス環境を評価し、企業進出を検討してほしい。是非一度ヨルダンを訪れ、率直な感想をきかせていただきたい。


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