シアトル閣僚会議関連会合への代表団派遣/11月30日〜12月3日
11日29日から12月3日まで、米国シアトルにおいて第3回WTO閣僚会議が開催された。経団連は、渡邊幸治 特別顧問、楠川 徹 サービス貿易自由化協議会特別顧問を中心とする代表団を派遣し、さまざまな会合の場でWTO体制の強化の必要性を強調するとともに、将来の交渉に向け各国の産業団体と活発な情報交換を行なった。
ムーアWTO事務局長、バシェフスキーUSTR代表、ラミー欧州委員等が出席するなか、環境、労働、開発、人権、性差別等の問題を扱うさまざまなNGOが、
これに対し、経団連は、欧州産業連盟(UNICE)等の産業団体とともに、自由貿易の重要性を強く主張した。また、次期交渉で市場アクセスの改善とルール・規律(特にアンチダンピング)の強化が図られるべきであることを強調した。
ムチュモWTO一般理事会議長は総括として、
米国の主要産業団体(全米商業会議所、全米製造業者協会他)による自由貿易推進団体「アライアンス・フォー・トレード・イスクパンション」、UNICE、インド産業連盟(CII)、中国国家貿易促進委員会等と連携し、4日間にわたり、産業界の立場からWTOの次期交渉を巡る諸問題について議論を行なった。主な論点は以下の通り。
アンチダンピング
日本・インドが次期交渉においてアンチダンピング協定の見直しの必要性を主張したのに対し、米国は強く反対した。欧州は、協定の見直しではなくアンチダンピング措置の実施の国際的な調和が必要であるとの立場を示した。
投資
日本・欧州が次期交渉において多角的な投資ルール策定の必要性を強調した。米国は投資ルールの必要性は認識しているが、次期交渉で取り上げることは政治的に困難であると述べた。また、インドは投資ルールの必要性を否定した。
環境・労働
日・米・欧とも、貿易とリンクして、WTOの場で環境や労働問題の解決を図ることについては慎重であるべきと述べた。また、インドは労働に関する議論をWTOで行なうことは、将来の制裁措置ないし輸入制限措置につながるとして強く反対した。
知的財産権
欧米を中心に途上国によるTRIPS(知的所有権貿易関連協定)の遵守の重要性が強調された。
WTOの透明性
各国ともWTOプロセスの透明性向上の必要性を確認した。但し、NGOが直接、交渉や紛争処理の過程に入っていくことに対しては慎重であるべきとの意見が出された。
中国より、中国のWTO加盟は国内経済・企業構造改革を促進し、経済成長を促すとの期待が表明された。
なお、今後の産業界の役割として、
サービス・ディ(シアトル支援委員会主催・米国サービス産業連盟企画)では、閣僚を含む政府関係者と各国のサービス産業の代表がサービス交渉や各国サービス産業の実態等につき意見交換を行なった。
アーロン米国商務次官は、金融、通信、流通、オーディオビジュアル、自由職業、ヘルスケアなど既存のサービス分野の更なる自由化に加え、現在WTOのサ−ビス貿易一般協定(GATS)の枠外にあるエネルギー等の分野も取り込んでいくことが重要であると述べた。また、サ−ビス分野における競争促進的な国内規制の規律に関しては、各国・各分野によって事情が異なることに配慮すべきであるとの考えが複数の政府関係者より表明された。
パネリストとして出席した楠川特別顧問は、経団連によるサービス貿易自由化協議会の設置等について報告した。
日米欧を中心とする各国のサービス産業界の関係者が10月末に組織した「グローバル・サービス・ネットワーク」の第2回会合が開催され、各国のサービス交渉担当官との意見交換が行なわれた。
UNICE、CIIといった各国産業団体と個別に会合を行なった。CIIとの会合では、インド側は、