経団連くりっぷ No.115 (1999年12月22日)

日本アルジェリア経済委員会(委員長 室伏 稔氏)/12月1日

経済復興に果たす日本企業の役割に期待

−アッタール炭化水素公団総裁との懇談会を開催


アルジェリアでは、昨年末まで反政府勢力によるテロが多発し、正常は極めて不安定であった。しかし本年4月に民主的な大統領選挙が平和裡に行なわれ、国民融和路線をかかげるブーテフリカ大統領が当選、国家再建に向けた動きが顕著になりつつある。こうした中で、アルジェリアの主要輸出産業である石油・天然ガス事業を担う国営企業、炭化水素公団のアッタール総裁が訪日したことを機に同総裁と意見交換を行なった。

アッタール総裁発言要旨

  1. 膨大な復興需要と日本への期待
  2. 現在アルジェリアでは、停滞した経済を再興すべく大規模な経済構造改革を実施中である。国営企業の民営化と経済の自由化を推進しており、外資の自由化も改革の柱の一つである。アルジェリア市場の特徴は、労賃が低く、インフラが整備されており、国内市場が大きく、また北アフリカの地域統合が進みつつあることを指摘しうる。
    復興計画における炭化水素公団の予算は、新たな石油資源の開発のために、向こう5年間で200億ドルを充当する。そのうち40億ドルについては、既に具体的なプロジェクトを公表しており、日本企業も大きな関心を寄せてきている。また石油化学産業、石油精製部門の強化のために45億ドルを投資する決定も下されている。さらに将来に向けて、既存のパイプラインの更新と新たなパイプラインの敷設、港湾整備、船舶整備のために40億ドル投資する計画である。
    アルジェリア政府は、これらのプロジェクトに関連した調達は、ファイナンスとパッケージで行ないたいと考えている。基本的に炭化水素公社は公開調達を行なっているが、これまでの日本企業との関係には満足しており、日本企業には十分競争力があると考えている。資金的にも、日本からの融資が最大であると承知しており、今後の参加に期待している。

  3. 両国経済関係の再興にむけて
  4. 現在は、グローバル化の時代であり、アルジェリアも積極的に関与し、北アフリカ地域のリーダーシップをとっていくつもりである。日本とアルジェリアの関係は、わずか30年に過ぎず、文化も異なるが、これらはビジネス上の障害ではない。双方が向こう30年の関係を互恵的なものととらえ、発展させていくべきと考える。
    日本とアルジェリアの民間レベルの緊密な関係は、経団連が1982年に、アルジェリア側が1987年に二国間委員会を設立したことに溯る。第1回の合同会議は1989年に、第2回を1991年に、そして第3回を1993年に開催したところで交流が中断してしまった。
    アルジェリア側としては、近々アルジェで第4回の合同会議を開催したいと願っている。アルジェリアの国内情勢は昨年末より急速に改善しつつある。是非安定を取り戻したアルジェリアを確かめてもらいたい。合同会議の開催が難しいのならば、事務レベルの訪問団の派遣を検討してほしい。


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