経団連くりっぷ No.115 (1999年12月22日)
OECD諮問委員会(委員長代行 塩谷憲司氏)/12月2日
国際的な科学技術政策に産業界の意見を反映
−BIAC産業技術委員会報告会を開催
BIAC産業技術委員会(CTI)の中村委員長(日立製作所理事・研究開発本部副本部長)より、1999年の委員会活動の状況につき報告をきいた。同委員会では、本年6月のOECD科学技術政策委員会(CSTP)閣僚級会議に対して、バイオテクノロジーを中心とする科学技術の国際的な協力の枠組みに産業界の意見を積極的に取り入れるよう提言した。また11月にはCTI本会議を開催し、産学協力のあり方などを議論した。
- OECD・CSTP閣僚級会議へ提言
本年6月、CSTP閣僚級会議が4年ぶりに開催され、今後3〜4年間のCSTPの活動の方針を決定した。
会議においてCTIは、
- バイオ分野を中心とする科学技術の国際的な協力枠組みである「OECDグローバル・サイエンス・フォーラム(GSF)」に産業界の意見を積極的に取り入れること、
- 産官学の連携を積極的に推進すること、
などを提言し理解を得た。また、生物多様性に関する情報を国際的に管理するために「地球規模生物多様性情報機構(GBIF)」を新たに設立することに対し賛意を述べるとともに積極的な参加の意思を示した。
- BIAC・CTI本会議の開催
CSTP閣僚級会議を受けて11月に開催されたCTI本会議では、OECD事務局から、GSFの主要課題である、
- 1950年代に建設されたニュートロン・ソース施設、
- 核廃棄物の処理、
- GBIFによるデータの管理、
- 電波天文学と通信産業の利害調整、
などの問題について専門的な説明をきくと共に、こうした議論に産業界が初期段階から参加できる仕組みをつくるよう求めた。
今後のCTIのメインテーマである産学協力に関しては、ミニ・ワークショップを開催し、ベルギーなどの成功例を紹介した。また来年6月までに、知的財産の官・学から民への技術移転制度、産学協力による新規雇用の創出などに関するBIACポジション・ペーパーを作成してOECDに提出すること、来年秋にドイツで開催されるOECDの産学協力国際会議に参加することなどを決定した。
また、本会議翌日のCSTP第73回総会にも参加し、バイオテクノロジーによる遺伝子組換え食品のラベリング、産学協力及び研究のスピンオフなどの問題を議論した。
- 市民社会との関係
近年、特に欧州において、NGO(非政府組織)などの市民社会は、遺伝子組換え食品などへの反対活動を積極的に行なっている。産業界としては、国際的な協力により、(1)科学的根拠に基づく安全性の証明、(2)徹底的な情報公開を通じて、広く一般市民の理解を得る必要があるだろう。
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