経団連くりっぷ No.115 (1999年12月22日)

流通委員会 企画部会合同会合(委員長 鈴木敏文氏)/12月1日

今後の流通政策

−通産省杉山商務流通審議官にきく


流通委員会では企画部会との合同会合を開催し、通産省の杉山秀二 商務流通審議官より今後の流通政策について説明を受けるとともに懇談した。

  1. 杉山審議官説明要旨
  2. 日本経済は、

    1. 実質GDPがようやく2期連続プラスとなり、民需が一応プラスに寄与していること、
    2. 鉱工業・生産財等の在庫循環においても第四象限に入ってきたこと、
    3. 鉱工業生産指数が平成11年度第3四半期から上向いていること、
    などから、底を打ち、若干回復傾向にあると考えている。小売業の販売額については、生産面の好調さに比べると力強さに欠けるが、その理由は個人消費を中心とした内需の弱さにあると思われる。景気回復の面で、流通・サービス業への期待は大きい。特に、厳しい雇用状況の下で、雇用吸収の面での期待が大きい。
    小売業等における業態別の従業員数、売上高、店舗数を比較すると百貨店・チェーンストアに比べ、フランチャイズチェーンが高い増加率を示している。しかし、同じ業態の中でも伸びる企業とそうでない企業とがある。前職の近畿通産局長当時、大阪では構造不況業種であれ、地場の中小企業であれ、あらゆる業態で二極化が進んでいるという印象を持った。日本の小売業のROAは85年度以降約半分に低下し、1997年度現在で2%台である。この数値は米国と比較すると著しく低い。しかし、個別企業のROAも各社で大きなバラ付きが生じつつあり、各企業がいかなる事業戦略をとるかが利益率と今後の成長を左右するのであり、ここが経営者の腕の見せ所だと思っている。
    電子商取引について政府が行なうべき基盤整備は多岐にわたるが、政策的なコンセプトとして次の2点を考えている。第1点はグローバリティであり、国際的に通用する政策を行なうということである。第2点はフレキシビリティーであり、予想を超えた技術進歩に対して柔軟に対応するということである。消費者が安心して取扱えるよう、政策に係わる議論を続けていきたい。
    来年6月に施行される大店立地法の政省令、指針は既に策定済みであるが、運用に際しては地方自治体に法の趣旨の理解を徹底させる。その上で、街づくり・都市づくりのための都市計画法や中心市街地活性化法と併せて適正な運用を図っていく。

  3. 懇談要旨
  4. 当会側出席者から、「フランチャイズビジネスは、企業家としてのフランチャイザーと担い手としてのフランチャイジーの両面から成り立っており、現在進められているフランチャイザーのデータベース化など、制度整備を通じた業界への支援が望まれる」との意見が出された。これに対して、「特に雇用面でフランチャイズチェーンの活性化が重要であり、業界と意志疎通を図りながら、政策対応を図っていきたい」との説明が行なわれた。


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