経団連くりっぷ No.116 (2000年1月13日)

ゴー・チョクトン シンガポール首相との懇談会/12月9日

日本とアセアン諸国との一層の関係強化を


シンガポールのゴー・チョクトン首相一行を迎えて懇談会を開催した。シンガポール側からはゴー首相のほかジャヤクマール外務大臣、ジョージ・ヨー商工大臣など13名が出席し、経団連側からは今井会長、熊谷副会長、大賀副会長、片田副会長はじめ11名が出席して、両国経済の現状、中長期的な経済改革への取組み、インドネシア情勢、円の国際化、ならびに二国間自由貿易協定などについて活発な意見交換を行なった。

  1. ゴー・チョクトン首相発言要旨
  2. 通貨・金融危機の影響を受けた東南アジア諸国の経済も回復に向っているが、その一つの要因は、日本の経済成長がプラスに転じたことである。日本の短期的な景気対策の効果については、あまり懸念を持っていない。一方、中長期的な経済改革への取組みに強い関心を持っている。グロ−バル経済の中で、日本がどのように競争力を強化し、欧米と競争していこうとしているかをきき、シンガポールも参考にしていきたい。
    日本とシンガポールとの自由貿易協定については、政府間で検討することが合意されているが、これは、今後、アジア地域において中国のプレゼンスが高まると予想される中、日本とアセアンとの関係を一層強化するための一案として提案したものである。
    インドネシアに関しては、日本の支援の一環として、インドネシア銀行再建庁(IBRA)が回収した資産の評価、買い取りなどのノウハウを日本企業から提供してほしい。
    シンガポールに対しても引き続き日本企業からの投資をお願いしたい。そのための環境整備も積極的に行なう。

  3. 経団連側発言要旨
  4. アジア各国は景気回復の兆しを見せているが、これを本格的な回復軌道に乗せるためには、金融を中心とした構造改革などの努力の継続が重要と考える。わが国経済界としても、シンガポールと協力しつつ、アジア経済の再活性化に取り組んで行きたい。アセアン重視の姿勢に変わりはない。
    シンガポールとの自由貿易協定については、われわれ経済界としても基本的には賛成であり、政府により設置される予定の研究会にも参加していきたいと考えている。
    インドネシア問題については、まず、インドネシアが自ら政治的、社会的な安定を回復することにより、逃避した資本を取り戻すことが重要である。インドネシア華僑の動向を知る上では、シンガポールが重要な役割をもっている。対インドネシア支援において、人材育成面などを含め、シンガポールとも協力していきたい。


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