経団連くりっぷ No.116 (2000年1月13日)

第22回日本・香港経済合同委員会/12月1日

電子商取引への取組みに関心集まる


日本・香港経済委員会(委員長:梅田貞夫氏)では、毎年1回、香港の経済人との間で合同委員会を開催している。12月1日、香港で第22回合同委員会を開催し、日港双方の経済情勢や双方の企業の競争力強化に向けての取組み、中国のWTO加盟後の香港の役割等について意見交換を行なった。中でも、今後発展が見込まれる電子商取引とこれに対する双方の企業の取組みについて、熱心に討議が行なわれた。以下は、同会議において採択された共同声明である。


第22回日本・香港経済合同委員会共同声明
(英文正文、和文仮訳)

1999年12月1日


  1. 第22回日本・香港経済合同委員会は、本日(1999年12月1日(水))、香港において開催された。レイモンド・チン 香港・日本経済委員長(インチケープ・グレーターチャイナ会長兼チャイナ・ドット・コム評議員会会長)と梅田貞夫 日本・香港経済委員長(鹿島建設社長)が本会議の共同議長を務めた。

  2. 董建華 香港特別行政区行政長官ならびに河野洋平 外務大臣より、祝辞が寄せられた。

  3. 本会議を通じて、香港ならびに日本の主要企業の代表から成る双方の委員会は、あらためて、各々の目的が香港と日本との間の貿易、投資および観光を促進・拡大するとともに、互いのビジネス環境に対する理解を深めることである点を確認した。

  4. 本会議は、双方の経済が着実な回復途上にあり、原動力を取り戻しつつある中で開催された。日本経済は1999年初頭から景気が回復に向かっている。他方、香港もアジア経済危機から脱しつつあり、経済情勢は良好で、競争力も飛躍的に強化されている。

  5. 双方は、互いの経済情勢その他について詳細な討議を行なった。日本側は、アジア諸国の経済回復に際して日本が果たすことができる中心的な役割を再認識し、日本全体で起きている様々な構造変化や金融セクターにおける改革について説明した。そして、金融セクターの改革により香港企業との提携の機会が増大すると述べた。双方はまた、発展するサプライチェーンの経営方式についても意見を交換し、そうした発展を、香港の企業はどうやって製品やサービスの対日輸出拡大につなげれば良いかを話し合った。

  6. 双方は、香港経済の回復を歓迎するとともに、香港が引き続き安定している点や貿易相手としての競争力を回復している点に留意した。香港側は、香港経済の「再発明」について述べ、最近は情報技術や知識を基礎とする産業に一層重きが置かれていると説明した。また香港側は、香港と日本との協力をさらに強化すべきであると提唱し、特に双方の中小企業間の連携を強めるべきであると主張した。さらに、その際の有用な媒介役としてのインターネットの可能性についても討議した。

  7. 世界的なビジネス環境に関する議論の中で、双方の参加者は、中国の世界貿易機関(WTO)加盟への道を開いた最近の中米合意の効果と、中国がさらなる貿易自由化に取り組むことにより生じる様々なビジネス機会について評価した。双方は、仲介者やアジアにおけるサービス産業の中心地としての香港の役割は、日本企業にとって今後ますます重要になるとの認識で一致した。すなわち日本企業は、法的地位や行政上、経営上の地位が確立しており、かつ中国に関する専門的知識が集積している香港の強みを利用することにより、中国市場に近づくことが可能になる。さらに双方は、電子商取引が世界的な貿易取引に与える影響や、香港がいかにしてアジア地域のインターネットの中心になればよいかについても意見を交換した。

  8. 本会議において、双方は、香港貿易発展局のビクター・ファン会長ならびに来賓のマイク・ラウズ 香港観光局長、ジャスティン・リン 北京大学中国経済研究センター所長・香港科技大学経済学部教授から説明を受けた。ラウズ局長は、先般発表された香港ディズニーランドの建設決定による経済効果や、世界的な観光都市としての香港の魅力をさらに増大させるための戦略について概略を説明した。またリン教授は、中国のWTO加盟の効果や中国における経済改革の状況について説明した。

  9. 双方は、このハイレベルの対話を今後も継続し、本会議で披露された意見についてフォローアップを行なう予定である。こうした対話は、互いの企業や政府にとって利益となる問題を取り上げるインフォーマルなネットワークが大いに必要とされている昨今、その発展に貢献している。

  10. 双方は、第23回日本・香港経済合同委員会を2000年の双方の都合が良い時期に日本で開催することで合意した。


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