経済政策委員会 企画部会(部会長 小井戸雅彦氏)/12月17日
経済政策委員会 企画部会では、21世紀初頭に予測される労働力人口の減少の下で、経済社会の活力を維持していく方策について検討を進めている。この一環として、労働省職業安定局雇用政策課の 藤沢 勝博 中央雇用計画官から21世紀初頭の労働市場と雇用政策の方向につき、説明をきくとともに懇談した。
足許、失業率は4.6%であるが、このうち不況による需要不足によるものは1.2%と見ている。産業、年齢、職業、地域における雇用のミスマッチによる構造的・摩擦的失業については3.4%と、1991年の2.2%から漸増傾向にあり、このミスマッチ失業の拡大を抑制することが重要である。
労働市場では、パート比率、各年齢層における転職希望率が各々上昇し、また、新卒者の無業者化傾向が高まり、新卒就職者が3年以内に離職する比率も拡大している。このような構造変化は今後さらに加速すると見込まれる。一方、2010年には労働力人口に占める高齢者比率が急増する。仮に経済成長率が今後10年間平均2%で推移すると失業率は4%を上回るが、65歳までの継続雇用制度の普及や能力開発の充実等雇用のミスマッチ解消策が効果をあげれば、失業率は3%台後半に低下すると見込まれる。
21世紀初頭の10年間を対象とする基本計画のポイントは、
経団連側出席者からの「経済成長率2%以上を目指すなら外国人単純労働者の受入れも必要ではないか」、「年齢によるミスマッチ拡大はもっと深刻で今回の対策では不十分ではないか」との質問に対し、藤沢計画官からはそれぞれ、「単純労働者の受入れには十分慎重に対応するが、その目的に応じて議論は必要」、「労働時間短縮、賃金調整やワークシェアリング等も含めて幅広い対応が必要」との回答があった。