経団連くりっぷ No.117 (2000年1月27日)

今井会長の一言


1月19日(水)
景気は自律回復軌道に
−四国地方経済懇談会

「わが国の景気につきましては、漸く最悪期を脱し、現在は、穏やかながらも回復過程にあるとの実感をもっております。統計上は、1999年7−9月期の実質GDP成長率がマイナス1%となるなど、景気はまだ一進一退を繰り返しているようですが、鉱工業生産、企業収益が持ち直しており、アジア向け輸出も好調で、株価も1万8,000円台を固め、2万円台も時間の問題と思われます。
パソコン、携帯電話の売れ行きが絶好調になるなど、昨年の今頃とは比較にならないくらい、マインドも改善しています。しかしながら、まだら模様の回復を続けているため、地域、企業によって受け止め方が大分異なっています。消費、民間設備投資が伸び悩んでおり、まだ民需中心の本格的な自律回復には至っているとはいえませんが、今後とも情報通信関連投資が増大し、企業や金融機関の情報化投資も増大することから、経済の構造改革を加速化することで、早期に景気の自律回復軌道に乗ることができると考えております。

1月20日(木)
求められる産業技術力の強化
−関西会員懇談会

「将来にわたって経済を活性化していくためには、構造改革に加えて未来に備えた発展基盤を今から整備していく必要もございます。
その第一は総合的・計画的な科学・技術開発基盤の強化であります。少子・高齢化が確実な中で、資源のないわが国が、経済の活力と豊かな国民生活を維持していくためには、イノベーションによって、資本と労働の生産性を引き上げていくしかありません。そのためには産学官が協力して産業の技術力を抜本的に強化していくことが有効です。
そこで、来年度予算において、2,500億円の総理の「経済新生特別枠」を純増で設けていただき、そのうちの1,206億円を使った具体的なプロジェクト(電子政府、ヒトゲノム解析、燃料電池など)が、昨年12月の臨時閣議で決定しています。これは、省庁横断的な取組み、達成目標や目標年次の明確化、産学官の連携強化、事実上の複数年度化、責任体制の明確化などの点から、従来にない画期的なプロジェクトとなっており、今後の産業技術戦略策定のモデルケースになりうるものです。」


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