経団連くりっぷ No.117 (2000年1月27日)

新入会員代表者との懇談会(司会 内田事務総長)/12月14日

新入会員代表者より当会に対する率直な意見・要望をきく


経団連では、新しく入会した会員の代表者から、各企業・業界の当面する課題や要望等をきき、活動に反映させている。当日は新入会員代表者7名および今井会長、内田事務総長ほか事務局役員4名が出席し、率直な意見交換を行なった。

新入会員代表者発言要旨

  1. シダックスフードサービス
    志太 勤 会長
  2. 当社は、一般事業所・病院等への給食サービスを行なっている。3〜4兆円のマーケット規模をもつ一般事業所サービスは、成長が少ないものの、介護ビジネスや高齢者の施設が数多くできているため、20〜30%の成長が続いている有望な分野もある。
    また現在、ニュービジネス協議会の副会長を務めているが、NPOとの連携等、今までにない基軸で新しい時代に対応していきたいと考えている。経団連と連携をとりながら、ニュービジネスの育成に力を入れたい。

  3. アメリカンファミリー生命保険会社
    大竹美喜 会長
  4. 当社は、厳しい経済環境の中でも幸いにして日本社創業以来25年間2桁の成長を遂げており、将来の見通しも立っている。
    以前から、社会保障制度の問題に高い関心を持っており、25年間にわたり厚生行政の動向を注視してきた。現在、経済同友会の医療保険制度改革研究会(自主的な勉強会)の座長を務めているが、経団連でもこの問題に熱心に取り組んでいるときいたので、これからは連携を深め、政府に積極的に提言していきたいと思っている。
    また現在、(財)国際科学振興財団(文部省の外郭団体)の副会長を務めているが、新しい時代に向けた活動を展開しているので、活用してもらいたいと考えている。

  5. 国際航業
    友納春樹 会長
  6. 経団連は政府に対して景気回復のための陳情を盛んにしているが、まずその考え方から変えるべきだ。景気を回復させるのは経済界であり、政府でも官庁でもない。
    国民の側を向いて「景気回復の主役は経済界であって、政府はそれをサポートするものだ」という道理をはっきりと理解させ、経済界が今何を考え、どのようにしようとしているかを伝えることによって、国民の信頼を得るように努力すれば、必ず景気回復の道が拓ける。
    将来は、米国のように経団連から大臣が出るようにすることを目標にすべきだ。公共事業費をはじめとする社会費用が国家予算を破壊しようとしつつある現状の危機を考え、経団連がもっと活躍の場を絞って救国の活動をしてもらいたいと願う。

  7. グローリー工業
    尾上壽男 社長
  8. 当社は貨幣処理機のメーカーだが、現在の課題は、2000年に発行される2千円札と新500円硬貨への対応である。2千円札は7月からまず1億枚発行され、その後状況を見て、ニーズに応じて増やしていく予定である。500円硬貨は8月から発行されるが、いずれも早期の対応が必要となる。1金種増えるとメカ的にも複雑になり、システムの構築にもかなり時間がかかるが、お客様に迷惑をかけないよう、何とか間に合わせてビジネスチャンスにしていきたいと考えている。
    また、株式交換制度が法制化され、現在、販売会社を100%子会社化する方向で進めている。今後、この制度を利用してグループの再編を行っていく企業が、さらに増えていくものと考えている。

  9. 日本ルーセント・テクノロジー
    清水英一 社長
  10. 当社は、1996年のAT&Tの通信事業部門と製造部門の分離に伴い、その製造部門を担当し誕生した。分割後、新会社としての明確な研究目標が掲げられ、中核を担う研究機関のベル研究所では、ノーベル物理学賞をこの3年間で3人輩出するなど、高い技術力を有している。
    日本におけるビジネスでは、固定型、移動型の両通信分野において、当社は特にインフラ部分を中心に日本企業と共同開発を行なっている。そして、日本の優れた技術を海外に発信することも大切な役割ではないかと考えている。最近、日米両国間で資材の国際調達の面で、一定の前進が見られたことは非常に喜ばしいと思っている。

  11. 大豊工業
    福間宣雄 社長
  12. 現在、自動車産業は世界的再編の渦中にあり、大変な状況に置かれている。従来の経営手法や、得意分野に頼れる時代ではない。現在、わが国では製造業を中心に大規模なリストラを敢行中だが、一段落すれば黒字に転換できない企業はないと思う。そういう意味では、現在苦境にある企業も必ずや復活されるものと、確信している。
    国内やアジアの景気も回復傾向にあり、米国も好調を維持している。今の時代、技術、生産、販売、財務の全ての面で経営者の力量が問われている。生き残るためにも世界的な競争力を身に付けることを第一に考える必要がある。いたずらに規模を大きくせず、適切な規模で専門技術と生産力、製品の刷新で業績を上げていかなければならないと思っている。

  13. 梓設計
    加藤幸三 社長
  14. 当社は、設計事務所という業態のソフト産業である。日本では、ソフト産業に対する理解が少なく、知的労働に対する理解を産業界や国民に広めていきたい。一級建築士というのは国家資格で、欧米では弁護士や医師と同等の社会的評価を受けているが、日本では市民・社会の認知も確かではない。
    また、日本と欧米では教育制度が違うので、有資格者として相互交流ができにくい。
    建築活動は完成した時に皆に持てはやされるものが多いが、われわれは完成して年数が経っても評価が大きく変らないものを目指している。機能、品質、デザインの順で考えながら、健全な建築物を世の中に提供していくことにより、社会にも貢献し、多くの人々に設計というものを一層理解してもらいたいと考えている。


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