経団連くりっぷ No.118 (2000年2月10日)

第564回常任理事会/1月11日

首都機能移転先候補地を選定


昨年12月20日、約3年間の審議を経て国会等移転審議会の答申が取りまとめられた。そこで、森 亘 同審議会会長(東京大学名誉教授)より、審議会における首都機能移転先候補地の選定過程等について説明をきいた。

  1. 選定過程
    1. 審議会では専門家による基礎資料作製のほか、現地調査、公聴会を実施した。その結果、調査対象地域である北東、東海、三重・畿央の各地域を通じ、合計10ヵ所の総合評価対象地域を設定した。それらにつき、国内外からのアクセス容易性、景観の魅力、地震や火山災害に対する安全性、土地の円滑な取得の可能性など16の項目(細分化すると18項目)にわたり、専門家が数値による評価を下した。さらに審議会委員が評価項目間の重みづけを行なって総合的な評価結果を算出した。

    2. 以上の作業を踏まえ、答申に向かっては、

      1. 複数の候補地選定が好ましい、
      2. 数値化しえないような各地域の特色も重視したい、
      3. 地震・火山災害に対する安全性や土地の円滑な取得の面で大きな欠陥がある場合には、それらにとくに留意せねばならない、
      とした。

    3. その結果、

      1. 自然環境と共生しやすい北東地域、
      2. 高度情報化社会、国際社会への貢献に大きな期待が持てる東海地域、
      3. 従来の伝統を生かした新しい文明の拠点として期待が持てる三重・畿央地域、
      の三者は互いに異なる特色を有するので、単純に比較することが困難なため、それぞれの代表的地域として、栃木・福島、岐阜・愛知、三重・畿央を選び、これに
      1. 多くの審議会委員が重視する地震災害に対する安全性できわめて評価の高い茨城地域、
      を加えた4地域に絞り込んだ。

    4. 他方、総合評価の数値は、栃木・福島地域と岐阜・愛知地域が僅差で最も高かった。三重・畿央地域は、評価値が低いために正式の候補とはなしえず、また茨城地域は、評価値もある程度高く、地理的に近い栃木・福島地域の支援拠点として位置づけることが適当であろうとした。

  2. 選定結果
  3. 以上の審議を経て、答申では、「移転先候補地として、北東地域の『栃木・福島地域』又は東海地域の『岐阜・愛知地域』を選定する。『茨城地域』は、自然災害に対する安全性に優れる等の特徴を有しており、『栃木・福島地域』と連携し、これを支援、補完する役割が期待される。『三重・畿央地域』は、他の地域にはない特徴を有しており、将来新たな高速交通網等が整備されることになれば、移転先候補地となる可能性がある」と文章化した次第である。


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