経団連意見書/1月18日
産業廃棄物最終処分場の新設が進まず、最終処分場の残余年数は1.6年にまで減少している。またダイオキシン問題への国民的な関心の高まり等を背景として、政府与党において循環型社会基本法(仮称)の制定をはじめとする廃棄物関連法制の整備に向けた検討が進められている。
こうした新たな事態を受け、環境安全委員会(委員長:辻 義文氏)では、1月18日、わが国の廃棄物・リサイクル対策をめぐる諸課題に対する産業界の見解を標記提言としてとりまとめた。以下は提言の概要である。
産業界の役割として、自主的取組みを中心に据えてリデュース・リユース・リサイクル対策を進め、最終処分に回るものを最小化すべく、不断の努力を続ける。
経団連は、これまでも環境自主行動計画に基づき業界毎に廃棄物対策に取組んできたが、1999年12月には新たに産業廃棄物最終処分量の削減に関する統一目標(2010年度において、1990年度比75%削減、1996年度比70%削減)を設定し、自主的取組みの強化を図っている。
循環型社会の推進にあたっては、自主的取組みが最大限活用されることが重要。
民間が産業廃棄物の処理・処分施設の確保に取り組むことは当然であるが、国・都道府県は、廃棄物の中間処理施設や処分場を必要不可欠な社会インフラと位置付け、都道府県自らが事業主体となることも含め、その建設促進に実効ある措置を講じることが期待される。
特に利害関係者間の意見調整等を行なうなどの建設促進に向けての環境整備、システムづくりが当面の重要課題。
廃棄物の定義や一般廃棄物と産業廃棄物の区分を見直し、有害性の有無に着目して効率かつ適正な処理を推進することが必要である。また、都道府県をこえた広域処理の推進も求められる。
不法投棄・不適正処理の防止は喫緊の課題。排出事業者は、不法投棄や不適正処理に繋がる処理委託はしてはならない(廃棄物が適正に処理されたかどうかの確認の必要性)。
不法投棄を行なった処理業者が不明もしくは資力不十分で、処理委託した排出事業者の責任が明確な場合には、原状回復を行なうものと理解。
不法投棄の監視・取締り体制の一層の強化が肝要(悪質な業者に対する法の厳正な適用と、厳罰の適用)。
優良な処理業者が発展し、廃棄物処理が産業として確立するための業許可要件等の見直し(資金力・技術力の審査等)。
経団連は、産業廃棄物処理事業振興財団ならびに不法投棄原状回復基金への協力を通じて、処理施設の整備ならびに不法投棄・不適正処理の防止、円滑な事後対策にも努めている。
生産者が重要な役割を果すことは当然。併せて国、地方公共団体、消費者も含めて、社会全体の効率性という観点から、それぞれの役割と責任を分担することが必要。
今後も、業種・業態の実態に則して、使用済み製品の引取・処理・リサイクルシステムをつくっていくことが有効(容器包装リサイクル法、家電リサイクル法、使用済み自動車リサイクルイニシアティブの例など)。
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