経団連くりっぷ No.118 (2000年2月10日)

フレシェット国連副事務総長との懇談会(司会 内田事務総長)/1月18日

国連と民間とのパートナーシップ強化


来日中のフレシェット国連副事務総長を招き、国連と民間とのパートナーシップ推進のための方策を中心に懇談した。当日は経団連側より国際協力委員会 国際貢献・人材派遣部会の篠原 巌 部会長(日本電気常務取締役)ほかが出席し、活発な意見交換を行なった。

  1. フレシェット副事務総長発言要旨
    1. 国連と民間セクター
    2. 民間セクターは、かねてより世界銀行やアジア開発銀行等の国連関連機関とのパートナーシップの下、さまざまな活動を展開してきている。しかしながら、国連本体と民間セクターとの関係がこれまで疎遠であったことは否めない。
      もっとも、最近、国連と民間セクターとの連携が強化されつつあることも事実である。国連の主要な任務の一つに国際平和の維持、貧困撲滅があるが、これらはビジネス関係の発展のために不可欠な基盤であり、連携強化はいわば当然の成り行きであるともいえる。

    3. 環境、医療分野における連携
    4. 国連と民間セクターとの共同イニシアティブが推進されている代表的な分野としては環境、医療があげられる。環境については国連環境計画(UNEP)がいくつかの案件において民間との共同作業を進めている。また、医療の面では国連が製薬会社と共同でAIDS撲滅のためのプログラムを推進する例などがみられる。

    5. 民間パートナーシップ基金
    6. 国連は「民間パートナーシップ基金」を設立している。同基金は米国のターナー財団からの年間10億ドルの寄付によるものであり、人口、健康・医療、環境の分野を中心とする民間とのパートナーシップに活用されている。国連がターナー財団と協議した上でこれらの分野の中から具体的なプロジェクトを抽出、優先順位をつけて実施している。現在、気候変動、生物多様性等の分野においてプログラムが推進されている。日本企業の積極的な参画に期待している。

  2. 経団連側意見(要旨)
  3. 平和、貧困撲滅がビジネス関係の発展のために不可欠であるという点に賛成する。
    冷戦終結後、東西の対立に代って先進国と途上国との利害の対立が表面化している。昨年シアトルで開催されたWTOの閣僚会議が決裂したことがそれを如実に物語っている。人権、労働、環境といった問題に通商政策をどのように結び付けていくべきなのか、各国の思惑はさまざまである。国連がいわゆる「グローバル・ガバナンス」を通じて平和、安全を維持し、ビジネス関係の基盤整備はもとより、先進国、途上国双方の経済厚生を極大化すべくイニシアティブを発揮することに期待する。


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