経団連くりっぷ No.118 (2000年2月10日)

アジア・大洋州地域大使との懇談会/1月21日

アジア・大洋州各国の最新の情勢について意見交換


経団連と日商は、アジア・大洋州23ヵ国の大使ならびに交流協会台北事務所長を招いて懇談会を開催した。会合では、槇田外務省アジア局長から1月18日から21日まで外務省で開催されたアジア・大洋州地域大使会議の概要について説明があり、引き続き韓国、中国、インドネシア、インド、米国の政治経済情勢等についてそれぞれの大使から説明をきいた。また、今井会長が開会挨拶、稲葉日商会頭が閉会挨拶を行なった。

  1. 各国情勢
    1. 韓国(寺田大使):
    2. 金大中大統領の就任以降、日韓関係は飛躍的に好転しており、今後も一層の関係強化に務めたい。内政面では4月13日に実施される総選挙に関心が集まっている。経済は急速に回復しており、今年は7%程度の成長が見込まれるが、金融構造改革や企業構造改革の進展いかんでは再び失速するおそれもある。

    3. 中国(谷野大使):
    4. 建国50周年を迎えた昨年は、江沢民の権威が高められた1年でもあった。今年の経済面での課題は国有企業の改革、リストラ、不良債権処理である。よほどのことがない限り、WTO加盟は今年夏までに実現するだろう。

    5. インドネシア(川上大使):
    6. ワヒド政権誕生後、全体としては安定化の方向にあるが、アチェやマルクなどでの紛争の処理が課題となっている。民主化の進展に伴い、ワヒド大統領と国軍との関係がギクシャクしており、国軍を代表するウィラント調整相の処遇が注目される。経済ではIMF路線を遵守し、財政赤字削減と対外援助依存度の縮小に努めている。ワヒド大統領は就任以来、華人との関係に最も気を遣っており、海外に逃避した華人資本も戻りつつある。

    7. インド(平林大使):
    8. 経済開放・規制緩和路線をとるバジパイ政権のもとで経済は好調である。特に宇宙開発やIT、ソフトウェア関連産業の発展が目覚ましい。インドは最近、国際政治における主流となることを目指して主要国との対話を積極的に進めている。CTBTへの参加も表明しており、1998年5月の核実験以降冷え込んでいた日印関係にも明るさが見えてきている。

    9. 米国(柳井大使):
    10. 大統領選は、民主党のゴア候補と共和党のブッシュ候補の争いに絞られるだろう。日米関係は昨年、安保面で緊密な連携が進んだ。経済面では、米経済が好調なためさほど大きな対立はないが、建設や板硝子、鉄鋼のアンチダンピング、NTT接続料などでは若干の対立が見られる。WTOについては、ここへ来て新ラウンド立ち上げの機会をうかがい始めている。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側:
    二国間自由貿易協定に対する日本政府の立場はどのようなものか。

    外務省側:
    まず勉強してみようという段階である。ただ、いずれにしてもGATTとの整合性がなければならないと考える。

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