日本・インドネシア経済委員会(委員長 上島重二氏)/2月7日
インドネシアのラクサマナ・スカルディ投資・国営企業担当大臣一行を迎え、懇談会を開催した。インドネシアは、経済危機の影響を克服し、持続的な経済発展に向けた改革に取り組んでいる。そこで、大臣からインドネシアの最近の政治・経済情勢および投資環境についてきいた。また、同行したバセリウス・ルル副大臣から国営企業の民営化について、アルウィン・ラシッド銀行再建庁長官から銀行再建、債務のリストラクチャリング等についてきいた。
インドネシアは、大きな変革の時代を経験し、本格的な民主的国家に生まれ変わろうとしている。平和的に政権が交代し、政治的な不安は払拭された。政府は、長期的な安定を目指し、透明性の確保、法の支配の貫徹など民主主義の確立のための諸政策を実行している。地方独立問題なども生じているが、これは民主的な政権への移行に伴う当然の結果であり、悲観していない。
為替、インフレ率、金利などマクロ経済指標は安定しつつある。ミクロ経済面では、銀行の資本強化、債権リストラ、国営企業の民営化などの問題が残っているが、安定したマクロ経済環境の下で、解決に向けて一層努力していく。
また、現在起草中の新投資法は、投資の予見可能性を確保するものであり、投資家の内外無差別など積極的な内容が盛り込まれる。政治的に安定化し、潜在的な需要を有するインドネシアへの投資は大きなチャンスとなる。
経済全体の改革の一環として、約140の国営企業の民営化を行なうことが喫緊の課題である。国営企業の運営と民営化プロセスの透明性を向上させ、投資家の利益を保護するべく、新国営企業法を作成中である。民営化の目的は、効率的で競争力のある企業を作ることであるが、同時に民営化に伴う収入は国家予算にも寄与する。透明性の高いプロセスにより、内外の投資家に対する株式の売却等を進めていきたい。
インドネシア経済が回復を見せている中で、これを本格的かつ持続的な発展に結び付けていくために、インドネシア側の更なる努力に大いに期待している。日本企業としては、事業拡大を通じて、経済回復に貢献したいが、そのためにも、インドネシアの政治的・社会的な安定が重要であり、ワヒッド政権のリーダーシップに期待している。
経済面では、民間債務の問題が解決に向けて着実に進展すること、ならびに、政権が変わっても対外的コミットメントが守られることが、事業展開上の重要なポイントとなる。