経団連くりっぷ No.119 (2000年2月24日)

国際協力委員会 政策部会(部会長 佐藤和夫氏)/2月10日

世界銀行グループの新しい民間部門開発戦略

−世界銀行シャフィーク民間部門開発・インフラストラクチャー担当副総裁との懇談


経団連では世界銀行グループとのパートナーシップを推進しているが、2月10日、経団連とのパートナーシップ推進の担当であるシャフィーク副総裁と、世銀の民間部門開発戦略等の問題について説明をきくとともに懇談した。

シャフィーク副総裁発言要旨

  1. 世銀の民間部門開発戦略
  2. 途上国への民間資金の流れは、この度のアジア危機にも関わらず全体としては伸びている。世銀は新たな民間部門開発戦略を推進しているが、その目的は途上国への民間資金流入のインパクトを世銀の貸付けや助言サービスを用いて、いかに最大化できるかにある。途上国への民間資金の流れは、世銀の貸付け額(286億ドル/1998年度承認ベース)の約10倍におよぶが、流入先は一部途上国に止まっている(中国、ブラジル、メキシコ等/1997年)。また、セクター別に見ても全体の80%が通信、電力セクターに集中している。こうした偏った状況を変えるため、世銀の新戦略は民間資金の流れを新規市場・分野へ導き、同時に貧困層の人々にその恩恵をもたらすことを企図している。そのために、

    1. 政策助言サービスと貸付手段を効果的に組み合わせたリスク軽減策の提供、
    2. 政策助言サービス提供の強化、
    3. 民間セクターとのパートナーシップの推進、
    4. 世銀グループ内でのシナジー効果の最大化、
    を目指している。本年1月に組織を変革し、より迅速に統合された効果的なサービスを提供するために世銀グループは「開発問題に関するスーパーマーケット」を目指す。鉱業、通信、石油・ガス・石油化学の3つの分野で、世銀と国際金融公社(IFC)共同のグローバル・プロダクト・グループを設置した。また世銀の東アジア・大洋州地域に関しては、IFCよりカッスム副総裁を新副総裁として迎え、同地域の民間部門開発グループをIFCのアジア局に統合、香港に地域オフィスを開設する等、積極的に世銀とIFCの連携を図る予定である。

  3. 利益の相反に関する問題
  4. 経団連とのパートナーシップで議論になっている「利益の相反」(Conflict of Interest)問題については、今回の世銀とIFCの組織改編においても話題となった。すなわち、世銀が途上国政府へ提供する政策助言サービスとIFCの提供する投融資との間の「利益の相反」について検討が行なわれた。その結果、

    1. 世銀グループ内に「利益の相反チーム」を設置しプロジェクト・マネージャーへ助言を行なう、
    2. 世銀グループが政策助言と投融資の二つの役割を果たすことをあらかじめ関係政府へ通知する、
    3. 当該国政府、民間投資家等全ての関係者が世銀グループの二つの関与について合意することを条件とする、
    4. 世銀グループ内では政策助言と投融資の異なるチームを編成し双方での機密を遵守する、
    等の対策を取りまとめた。


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