経団連くりっぷ No.119 (2000年2月24日)

国土・住宅政策委員会 PFI推進部会(部会長 鈴木誠之氏)/2月7日

PFI事業におけるプロジェクト・ファイナンスを実現

−日本プロジェクト産業協議会よりきく


日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の「次世代民活研究会」では、PFIの推進に向けたさまざまな調査研究を行なっており、昨年12月には「次世代民活(PFI)事業に関する報告書−プロジェクト・ファイナンスの実現に向けて−」を取りまとめた。そこで、PFI推進部会では、同研究会PFIファイナンス専門WGの秋葉リーダーならびにJAPICの樋野専務理事から、本報告書の内容について説明をきくとともに意見交換を行なった。

JAPIC側説明要旨

  1. プロジェクト・ファイナンス
  2. プロジェクト・ファイナンスは、わが国での実績はあまりないが、PFI事業における適切な責任分担(リスク負担)の明確化を実現するための金融手法であり、これを活用していく必要がある。明確なリスク分担と利益参加を可能とするため、公共側と民間事業者間、民間事業者と金融機関・投資家間のみならず、公共側と金融機関・投資家間でも直接契約を結ぶ必要がある。
    PFI事業資金の調達手法としては、株式(スポンサー出資、第三者出資)、社債、借入がある。多様なニーズをもつ投資家を呼び込み、資金調達コストの低減を図るためには、資本市場の活用が重要である。
    プロジェクト・ファイナンスにおける資本市場活用のための課題・問題点として、

    1. 超長期の投資対象となる社債は高い格付が必要なこと、
    2. 市場参画意欲の向上など機関投資家側の体制整備、
    3. プロジェクトに係る情報開示の推進、
    4. 個人投資家を取り込むための工夫(PFI専門投資信託の設立等)、
    等が必要である。

  3. ケース・スタディ等に基づく提言
  4. 今回、廃棄物処理・発電,LRT(次世代路面電車)事業、庁舎等公共施設と民間賃貸ビルとの合築事業等について、ケーススタディーを行ない、ファイナンスとその課題について検証を行なった。これらに基づき、本報告書では主に下記の点について提言した。
    適切なリスク分担を図る観点から、Availability Feeの支払いによるマーケットリスクの低減、事業会社から他の事業者へのリスク移転、デフォルト時の金融機関による事業介入等が重要である。また、VFMの計算にあたり、国税支払い分も含めた公共全体としての税収を考慮するとともに、リスク定量化分も加味して従来型公共事業とPFIとの比較を行なうなど、官民事業費比較において、イコールフッティングが確保される必要がある。さらに、公的支援の供与いかんは事業の公共性・公益性をもって判断すべきであり、現在、公共事業に適用されている国からの補助金、地方交付税措置、非課税措置等については、PFI事業にも適用されるべきである。加えて、民間事業者による公共施設の所有および管理に関する規制緩和、総合評価競争入札による制度の整備、事業者の募集・選定に関する情報公開等が必要である。


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