経団連くりっぷ No.120 (2000年3月9日)

日本メキシコ経済委員会(委員長 川本信彦氏)/2月15日

好調なメキシコ経済

−グリア メキシコ大蔵大臣と懇談


来日したメキシコのグリア大蔵大臣を迎え、最近のメキシコの経済情勢等について説明をきいた。グリア大臣は、メキシコ経済が好調であることを具体的な経済指標に基づき説明した。また日墨自由貿易協定について、両国の産業は補完的な関係にあり、今後、官民で検討を進めれば実現可能との見通しを述べた。

  1. メキシコ経済は好調
  2. グリア大臣

    各国企業がメキシコでの事業拡大を計画していることにも表れているように、メキシコ経済は好調である。不安定要因があるとすれば、米国経済の動向である。われわれは米国経済をコントロールすることはできないが、国内経済をより一層強化し、リスクに備えることが重要と考えている。

    1. 経済成長:
      1999年の成長率は3.7-3.8%、2000年も5年連続でプラス成長となることが予測されている。大統領選挙という状況下で、この成長ペースを維持することが、今後の課題である。

    2. インフレ:
      1998年は18%、1999年は予想を下回る12.3%であった。2000年は10%以下に抑えることを目標としている。インフレの低下とともに金利も低下している。

    3. 経常収支:
      1999年の経常収支赤字は約130億ドル、2000年の見通しは、成長率の上昇により輸入増が予想されるため、150〜160億ドルである。経常収支赤字の80%は外国からの直接投資によって補填されており、投機的資金に依存していない。

    4. 債務:
      公的部門の対外債務は対GDP比16-17%である。支払いスケジュールを調整し、償還時期が一時に集中するのを避けている。

    5. 財政収支:
      1998年の財政収支赤字は対GDP比1.25%、1999年は1.15%であった。メキシコの石油の価格は現在1バレル=25ドルであるが、2000年予算は1バレル=16ドルを前提に編成している。財政面の石油依存度は依然として高く、税制改革により是正したい。

  3. 日墨自由貿易協定
  4. EUとの自由貿易協定の効果で、プジョー、ルノー等が新規にメキシコ進出を計画している。メキシコにとって各国との自由貿易協定は良い結果をもたらしており、次は日本との間でも締結したいと考えている。
    日本とメキシコの産業は、きわめて補完的な関係にある。EUはメキシコとの自由貿易協定が農業に与える影響を懸念して調査を行なったが、ほとんど影響はないという結果が出た。日本の場合も、おそらく同様の結果となろう。日本の政府当局は常に慎重であるが、いったん決断を下せば大胆に実行すると信じている。4月には政府間のハイレベル協議と民間の経済協議会が予定されており、官民双方で検討を進めれば必ず道が開けるであろう。


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