経団連くりっぷ No.120 (2000年3月9日)

WTO交渉連絡協議会第3回会合(司会 團野廣一氏)/2月21日

包括的ラウンド交渉の早期立ち上げを


WTO交渉に関する政府と産業界との常設の意見・情報交換の場として設置されたWTO交渉連絡協議会の第3回会合を開催した。外務・大蔵・農水・通産の4省より、シアトル閣僚会議の結果を受けた米国、EUとの協議の模様など、包括的ラウンド交渉の早期立ち上げに向けた取組みにつき説明をきいた。また経団連側からは、3月に発表する予定の次期WTO交渉に関する提言の概要を説明した。

  1. 三極でシアトル後の対応を協議
    (伊原外務省国際機関第一課長)
  2. 2月7〜8日の一般理事会で、ムーア事務局長が、サービス交渉等のビルト・イン・アジェンダ(BIA)の交渉開始とともに、

    1. 後発発展途上国のための市場アクセスの改善、
    2. 発展途上国への技術支援、
    3. 貿易関連投資措置協定等の経過期間の取扱い、
    4. WTO組織の透明性・効率性の「当面の重要事項」、
    に取り組むことを強調した。
    2月半ばに河野外務大臣が訪米し、バシェフスキー米国通商代表、ラミーEU貿易担当委員と、三極を中心としたムーア事務局長への支援のあり方を協議した。新ラウンドの立ち上げには各国が一定の柔軟性を示す必要があるが、具体策は示されておらず、今後突っ込んだ意見交換を行う必要がある。わが国としては、米国、欧州に加え途上国とも対話を行い、複眼的な協調関係を築いていくことが重要と考えている。

  3. 技術支援と貿易円滑化への取組み
    (中山大蔵省関税地域協力室長)
  4. シアトル閣僚会議で焦点となった、途上国によるWTO協定の実施の問題を解決するために、来年度1.6億円の予算を計上して、技術支援を行なう予定である。
    貿易円滑化については、シアトル会議で比較的議論が煮詰まった。今後、物品理事会で議論することになったので、民間から具体的な要望を出してもらいたい。

  5. 農業交渉が3月に開始
    (柄澤農水省国際貿易機関室長)
  6. 2月7日の一般理事会を受けて、農業については3月後半に農業委員会で第1回交渉を行なうことになった。交渉開始前に議長を選出しなければならないが、難航している。またスケジュールについては、新ラウンドのスケジュールとの関係があり決定が難しいが、当面、イニシャル・プロポーザルの期限が焦点となろう。

  7. 包括的交渉の早期立ち上げを
    (細野通産省国際経済課長)
  8. サービス交渉は2月25日に開始される。 サービスは農業に比べると、ある時点で一気に進み始める可能性があるので、検討を進める必要がある。
    なるべく早く包括的なラウンド交渉を立ち上げるため、さまざまな国際フォーラムでモメンタムを維持していくとともに、四極および発展途上国との間でコンセンサスを形成していく必要がある。


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