東海地方経済懇談会/2月25日
経団連・中部経済連合会(中経連)・東海商工会議所連合会共催の標記懇談会が名古屋市において開催された。地元経済人約160名の参加のもと、経団連側は今井会長、熊谷・古川・前田・鈴木・岸副会長が出席し、東海経済界首脳と最近の経済動向や中部の活性化策等について意見交換を行なった。また、懇談会に先立ち、ノリタケクラフトセンターを訪問し、伝統的な高級陶磁器の製造過程等を視察した。
わが国経済は、経済活力の源泉である中小企業が元気を取り戻せば、本年後半には本格的な景気回復に向かうと期待している。
また、商工会議所の重要な使命である中小企業の振興については、中小企業基本法の抜本改正など中小企業重視の対策が講じられ、喜ばしく感じている。
東海地域における三つのビッグプロジェクト、すなわち、
東海では、住宅着工戸数に昨秋以降かげりが見え始めているほか、雇用環境や設備投資の見通しが依然として厳しい状況にあり、公共工事の着工も減少している。
中経連が本年3月に発表予定の「景気動向等に関するアンケート」の予備調査によると、雇用や機械設備の水準について約半数の企業が過剰と回答した。他方、主力の自動車メーカーの新型車販売は好調で、地域全体の有効求人倍率や失業率が僅かながら改善するなど明るい兆しも見られる。
今後、空港や万博等のプロジェクトが進展し、地元経済の活性化、さらにはわが国全体の景気回復に寄与することを期待する。
中部では、先端的な頭脳と生産力を併せ持つ高度なモノづくりと国土の交流の中核を実現することを目指して努力している。
例えば、高度道路交通システム(ITS)分野に関して、昨年10月、豊田市においてITSモデル地区の実験に取り組んだ。また、中経連では、昨年4月に産学官連携を図るべく「ベンチャービジネス支援センター」を開設するなどの活動を行なっている。
中部は、高度で幅広い産業集積を実現し、モノづくりの一大拠点としてわが国産業の牽引役を担ってきたが、当地の主要産業が成熟化する中、既存産業のイノベーションを図り新産業の創出・育成が求められる。
中小企業対策として、名古屋商工会議所などでは中小企業を対象に、産学官連携のもと新製品・新技術を開発する異業種組織を設置した。大学から企業への技術移転に関しても、大学等技術移転促進法成立を契機に本年4月、技術移転機関「中部TLO」を設立する予定である。また、中小企業対策関連のエンジェル税制、ベンチャーキャピタル支援税制については、新規創業支援の観点から、一層の拡充を図る必要がある。
中部国際空港については、政府の本年度補正予算および来年度予算で、現地着工費をほぼ要求通りに計上した。先端的産業技術の世界的中枢としての役割を果たす上からも、同空港は不可欠なプロジェクトである。現在、早期着工を目指し、愛知県、空港会社を中心に、漁業関係者との調整等の準備が進められている。
一方、日本国際博覧会は「自然の叡智」をテーマに瀬戸市南東部等を会場候補地として2005年開催を予定しているが、昨年11月のBIE(博覧会国際事務局)との実務協議や博覧会の跡地利用計画に関連して、さまざまな動きが見られる。今後、
昨年末、国会等移転審議会は移転先候補地として「栃木・福島地域」、「岐阜・愛知地域」、さらに条件付きで「三重・畿央地域」を首相に答申した。
これを契機に、国家的な観点および候補地としての観点から何をなすべきか、首都機能移転の原点に立ち戻る必要がある。すなわち、国家百年の計としての首都機能移転の意義を啓蒙するとともに、行財政改革の出発点として位置づけ、国民的な議論を盛り上げていかなければならない。
また、国土の中央に位置するとともに適度な土地集積等が評価されている中央地域は、新都市を建設する上から移転先として最適であり、こうした期待を裏切ることのないよう取り組んでいきたい。
岸副会長から当面の経済運営について、前田副会長より税制改正・社会保障をめぐる動向について、鈴木副会長より規制改革の推進について、熊谷副会長より経団連の国際問題への取組みについて、古川副会長より21世紀の日本と中部への期待について、各々説明がなされた。
最後に今井会長より、東海の取組みに対して経団連は可能な限り応援を続けていくとして、締め括った。