経団連くりっぷ No.121 (2000年3月23日)

海洋開発推進委員会 総合部会(部会長 橋口寛信氏)/2月28日

海を知り、守り、利用する海洋開発を

−科学技術庁研究開発局 田中海洋地球課長よりきく


海洋開発推進委員会 総合部会では、科学技術庁研究開発局海洋地球課の田中 敏課長を招き、1月28日に開催された第57回海洋開発審議会の模様と国内外の海洋開発の動向について説明をきくとともに意見交換を行なった。

田中課長説明要旨

  1. 平成12年度海洋開発関連予算案
  2. 平成12年度海洋科学技術関連経費予算案は、729億円で11年度より当初予算では減少しているが、11年度第2次補正予算で249億円が計上されたこともあり、12年度全体ではトータルで約1,000億円の事業規模となっている。12年度の科学技術庁関連は356億円であり、その大半が海洋科学技術センター(JAMSTEC)に充てられている。
    最近、特に進められている事業は、地球深部探査船を開発し、深海掘削により、地球環境変動・地震発生諸過程の解明やガスハイドレート等、新エネルギーの探求を行なう深海地球ドリリング計画、また、高さ約1mの海洋自動観測フロート約3,000個を水深2,000mに沈め、水温・塩分濃度の計測データを人工衛星を介して収集し、気候変動を予測しようという高度海洋監視システム(ARGO:アルゴ)計画である。

  3. 行政改革と海洋開発に係る審議
  4. 昭和46年に設置された海洋開発審議会は、来年1月の中央省庁等改革に伴い廃止され、文部科学省に設置される科学技術・学術審議会に機能を移行する。
    新体制に移行するにあたり、海洋国日本として海洋開発の推進を一層効果的に進めるため、今秋を目途に調査審議事項および調査審議を進めるに当たっての留意事項の整理を行なう。具体的には、5年程度を見通した研究開発体制の立案・評価、革新的技術の開発計画の立案、社会ニーズの的確な把握、関係機関等の有機的連携の実現、「海洋開発」として捉える活動の内容等について検討を行なう。

  5. 海洋地球科学技術推進のための基本的な考え方
  6. 海洋科学技術の推進によって、将来の変化の予測、自然災害の軽減、新技術の開発、新しい科学の創成等が可能になる。
    しかし、そのためには、海洋・地球・環境研究課題の統合化、時間軸を踏まえた達成目標の明確化、国民からの理解と支持、成果の可視化に取り組む必要がある。
    米国では、NOAA(海洋大気庁)を中心として、NASA(航空宇宙局)、NSF(国立科学財団)等各省庁連携で海洋フロンティアプログラムを打ち立て、研究を行なっている。日本に対する期待も大きい。


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