第28回中国地方経済懇談会／３月15日

日本経済の活性化と中国地域の自立・発展に向けて

経団連と中国経済連合会（中国経連）は、標記懇談会を岡山市において開催した。地元経済人約220名の参加のもと、経団連側は今井会長、古川・辻・片田副会長、若原１％クラブ会長が出席し、中国経連首脳と最近の経済動向、地域産業の振興、地域連携軸の形成等について懇談した。また、懇談会に先立ち、経団連側は舶用プロペラ分野で世界をリードするナカシマプロペラ㈱を訪問し、最新の翼面加工技術を用いたプロペラ製造工程や人工関節など新規事業分野における製品等を視察した。

中国経連側発言要旨

開会挨拶
多田公煕会長（中国電力会長）

当地方の景気の現状は、やや回復の兆しが見られるものの、本格的な成長軌道に載せるためには、情報分野を始め今後成長が期待される環境、医療・福祉、観光分野等を重点的に振興し、産業構造の転換を図る必要がある。
当地方は昨年３月に閣議決定された「中国地方開発促進計画」において、「多軸・分散型発展を先導する中国」として、発展の方向が示されており、中国経連としても現在、中四国の交流を促進する地域連携軸や日本海国土軸の形成等に取り組んでいる。課題である交通基盤の整備促進を図り、今後も広域経済文化交流圏の形成を一層推進していきたい。

地域産業活性化への取組み
竹林守副会長（マツダ会長）

当地域の経済再生には中堅・中小企業の振興と主要産業の競争力強化が不可欠であり、中国経連ではそれぞれアンケート調査、各地区での懇談会等を実施し、「地域産業の振興について－中堅・中小企業の活性化を目指して－」の提言を行なった。
中堅・中小企業は、公的金融支援策の情報の一元化、株式公募での基準の緩和等、特に資金面での支援を望む声が多く、また、承継税制の評価方法の見直し、留保金課税の制度拡充等の税制改正も求められている。
一方、製造業を中心とする主要産業の主な意見としては、雇用調整金の手続き簡略化や期間延長、償却年数の短縮化や連結納税制度の早期導入等があげられる。

地域の自立に向けた行財政システムの構築について
岸田俊輔副会長（広島銀行会長）

昨年７月、地方分権一括法が成立し、８月に「市町村の合併の推進についての指針」が策定されるなど、自立分権型社会の実現に向けての取組みが大いに期待される。
地域が自立し主体的な地域づくりを推進するうえでは、自治体同士の連携やより広域的な視点に立った行政運営が重要であり、市町村合併はそのための最も有効な手法である。当地方では、岡山県と山口県の一部地域において法定合併協議会が設置されており、他県においても市町村合併に向けて、種々検討が進められている。一方、中山間地域が多い当地方では、近隣とのアクセスが不便な市町村の合併は現実的には困難であり、広域行政を促進する上で高規格道路等の社会資本整備が不可欠である。
また、地方自治体が行財政改革を推進するうえでは、官民の役割分担を明確にし、積極的に民間活力を活かすことが必要であり、PFI方式の導入も検討課題である。

中四国地域連携軸の形成について
岡崎彬副会長（岡山瓦斯社長）

中国経連は地域連携軸形成に向けて、

中四国連携軸東ルートの備讃瀬戸（岡山・倉敷・高松）広域都市圏、
同西ルートの中四国セントラルルート地域連携軸推進協議会、
山口県西部地域の大関門都市圏構想、

山陰・日本海地域の振興について
櫨山陽介日本海委員会副委員長（浜田ガス社長）

日本海委員会では1998年３月、日本海国土の形成に資するため、「山陰・日本海国土軸グランドデザイン」を策定し、その具体的展開として、今年度は産業分野に着目し、当地域の農林水産業を軸に、他産業との融合による６次産業（１次・２次・３次の融合：例えばワイナリー）の創出や総合観光産業の振興等を目指し調査・検討を進めている。
山陰・日本海地域における今後の課題は、鉄道、道路ともに山陽側に比較し、大きく遅れている交通基盤の早急な整備促進であり、中国経連としても高速化に向けて、地元とともに努力していく。
また、山陰地域はこれまで中国吉林省や韓国との交流が進められてきたが、今後とも環日本海交流の促進を図り、西日本におけるゲートウェイを目指したい。

自由懇談：新たな生活福祉サービスの創出と拡大のために
福武總一郎氏（ベネッセコーポレーション社長）

高齢化が進むわが国とって、介護・福祉は大変重要な問題であり、地域における官・民パートナーシップの下、基盤整備の拡充とともに新たな産業として、より多くの役割を民間に開放すべきである。サービスの向上、多様な需要への対応、および費用の効率化には市場原理の徹底が不可欠であり、そのために

バウチャーシステムの導入、
第一種社会福祉事業への参入の自由化、
民間と社会福祉法人との競争条件格差の是正、

経団連側発言要旨

片田副会長から金融システムの当面する課題について、辻副会長より最近の環境問題について、若原１％クラブ会長より経団連の社会貢献活動について、古川副会長より参加と連携による地域づくりについて、各々説明がなされた。
最後に今井会長が、中国地域の取組みに対して、経団連は可能な限り支援を続けていく、と締め括った。

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日本経済の活性化と中国地域の自立・発展に向けて

中国経連側発言要旨

開会挨拶 多田 公煕 会長（中国電力会長）

地域産業活性化への取組み 竹林 守 副会長（マツダ会長）

地域の自立に向けた行財政システムの構築について 岸田 俊輔 副会長（広島銀行会長）

中四国地域連携軸の形成について 岡崎 彬 副会長（岡山瓦斯社長）

山陰・日本海地域の振興について 櫨山 陽介 日本海委員会副委員長（浜田ガス社長）