経団連くりっぷ No.122 (2000年4月13日)

ニエン ベトナム外務大臣との懇談会(司会 宮原賢次 日本ベトナム経済委員長)/3月10日

日越経済関係の強化


日本ベトナム経済委員会では、来日中のニエン ベトナム外務大臣を招き、ベトナム経済の現状、わが国に対する期待等につき説明をきくとともに、日越貿易・投資関係の強化に向けた率直な意見交換を行なった。なお、懇談会に先立って、ニエン外務大臣は今井会長を表敬訪問し懇談した。

  1. ニエン外務大臣説明要旨
    1. ベトナム経済の現状
    2. ベトナムはドイモイ政策を推進し、国家の近代化を図っている。その結果、1992年から1998年の平均経済成長率は8%を記録した。しかしながら、1999年の成長率は4.5%に止まった。これはアジア経済危機の影響、大規模な水害によるところが大きいが、ベトナム製品の競争力の低さ、外国からの直接投資の伸びの鈍化も要因である(もっとも、輸出は前年比23%増の115億ドルを記録している)。
      ベトナム経済を再活性化すべく、外国投資法の改正、行政手続の簡素化を推進している。また、現在、2001年〜2010年までの経済10ヵ年計画を作成中であるが、その中で、中小企業育成、非効率な国営企業のリストラがポイントとなるであろう。バウチャーを発行し、民間に売却する形での民営化の推進を検討中である。

    3. 日越関係
    4. ベトナムが日本との関係を重視していることはいうまでもない。1999年3月にファン・バン・カイ首相が訪日するなど、日越首脳はつねにコンタクトをとっている。
      ODAについては、ベトナムは日本から最大の援助を受けている。新宮沢構想、特別円借款等に感謝している。特に、日本には人材育成の面で協力していただきたいと考えている。ベトナム人は元来優秀であるし、人材を育成し、雇用を確保して行くことが貧困撲滅にあたって最重要だからである。この他、日本にはメコン河流域開発などの広域プロジェクトでも更なる協力をお願いしたい。
      日越貿易関係については、総額4,000億円を越えている。しかし両国の潜在力を考慮すると不十分である。1999年より日越間に最恵国税率が適用されており、貿易関係促進の一助となることに期待している。なお、近いうちに貿易協定を締結したいと考えている。

  2. 経団連側意見
  3. 日本側もベトナムとの経済関係を重視している。多くの日本企業がベトナムに進出し、ビジネスを展開しているが、行政手続の煩雑さ、意思決定の遅さ等に手を焼いている。今後、行政手続の迅速化・透明化を推進するとともに、外資優遇制度をさらに充実させていただきたい。進出した企業が成功すれば更なる投資が誘発されることであろう。


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