経団連くりっぷ No.123 (2000年4月27日)

経団連報告書/4月18日

「ペーパーワーク負担の実態と改善方策に関する調査報告」を発表


統計制度委員会(委員長 井口武雄氏)では、4月18日に「ペーパーワーク負担の実態と改善方策に関する調査報告」を発表した。以下はその概要である。

  1. 今回調査の趣旨
  2. 企業においては、間接部門の縮減等、経営の効率化が進んでおり、報告者負担軽減の抜本策が講じられなければ、回収率や統計の精度の低下が懸念される。そこで今回、官庁側の取組み強化を促すため、企業の報告者負担の実態と先進諸外国の取組みに関する調査を行ない、報告書としてとりまとめることとした。

  3. アンケート調査・ヒアリング調査結果
    1. 企業の報告者負担の総量
      わが国では報告時間の総量の把握が行なわれていない。そこで今回、アンケート調査結果を基にこれを推計した。推計結果によると、企業の総労働時間に占める報告者負担の比率は、統計調査では1.4%程度、ペーパーワークにまで広げると、1.6%程度である。この数字は、限られたデータに基づく暫定的な値であるが、例えば通産省の「平成9年度わが国企業の経営分析」における人件費の1.6%は、大手企業1社あたり年間3億4,000万円に相当する。

    2. 報告に時間を要する調査
      今回調査では、報告に時間を要する調査として、人事院「民間給与実態調査」の93時間、通産省「通商産業省設備投資調査」の55時間等があげられた。時間がかかる調査イコール悪い調査ではないが、数労働日を要する調査は、問題が多いと思われる。

    3. 重複が多い調査項目
      今回調査では、特に景気・賃金関連の調査について重複排除が不十分との指摘が多かった。

    4. いわゆる「ヤミ調査」の廃止
      統計調査については総務庁が重複排除等の観点から調整を行なっているが、ペーパーワークの中には、統計調査に極めて類似しているものの、統計調査でないとして、総務庁の調整を経ないで実施される、いわゆる「ヤミ調査」が存在している。官庁側が一刻も早く全貌を明らかにすることが望まれる。

    5. 学ぶべき点の多い先進諸外国の取組み
      今回、米国・カナダの報告者負担軽減策について調査した。両国とも報告者負担軽減を統計の精度維持向上の重要な要素として捉えており、わが国にない各種の施策が講じられている。




ペーパーワークとは、統計調査に加え中央省庁・地方公共団体に対する各種の報告を含めたものである。統計調査の具体的名称・内容については総務庁が把握し公表しているが、それ以外のペーパーワークについては、こうした情報も明らかにされていない。

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