経団連くりっぷ No.123 (2000年4月27日)

日本トルコ経済委員会(委員長 武井俊文氏)/4月5日

ユーラシアの核をめざすトルコ

−ジェム トルコ外務大臣と懇談


来日したトルコ共和国のジェム外務大臣を迎え、最近のトルコの政治・経済情勢等について説明をきいた。トルコでは1999年5月に3党連立によるエジュビット内閣が誕生して以来、与党が議会で安定多数を維持し、それを背景に多角的な外交を展開してきている。ジェム外相は、対日輸出の拡大とトルコへの日本人観光客の増加に期待すると述べた。

  1. ジェム外相発言要旨
  2. 世界市場のグローバル化が進む中、トルコはEUの加盟国となることを望んでおり、ユーラシアにおける政治経済の主要なアクターとなることを目指している。冷戦後幾つかの独立国家が誕生したが、そのほとんどが中央アジア、コーカサス、バルカンに位置し、トルコと共通の歴史、言語、宗教を有している。トルコはこの広範な地域の中で最もダイナミックな経済力と、また長年にわたる民主主義を有しており、ユーラシアの新興国の中で、中心的な役割を果たしていきたい。
    21世紀の経済発展はアジア中心に起こるだろうが、アジアとヨーロッパが繋がり一体となることで、両者がメリットを共有できる。トルコは歴史的、文化的な属性としてヨーロッパであり、かつアジアでもあるという特権を有している。トルコはこれまで地域的な役割を果たしてきたが、これからは国際的な役割も果たしていきたい。内政の安定を背景に、政治や経済の分野で未解決の問題を前向きに捉える時期が来ている。
    経済の面でも大きな変化が起こっている。海外からの直接投資に関する憲法を改正し、国際調停による紛争解決が可能となった。国営企業の民営化計画も勢いがついている。インフレ対策も成果を上げており、IMFや世界銀行と組んで、財政の健全化や経済構造調整を進めている。1999年は震災の影響で経済は大打撃を受けたが、2000年は通常の4〜4.5%成長を達成したい。今後20年は年6%成長を目指したい。
    日本の経済界には、トルコへの投資をさらに増加させるとともに、2つの分野での積極的な支援をお願いしたい。第1は、対日輸出が限られていることから、トルコからの輸入拡大に努力してほしい。第2は、多くの日本人観光客がトルコを訪問するように働きかけてもらいたい。

  3. 質疑応答(要旨)
  4. 経団連側:
    国際(第3国)調停による紛争解決が可能となったのは大変喜ばしいが、今後電力需要の動向をどう見ているか。また、IPPプロジェクトもさらに必要とされるようになるのか。

    ジェム外相:
    エネルギーは確かに重要な問題であり、国際調停の問題が解決したことにより、投資受入れの環境は整いつつある。国としてもエネルギー関連で合計300億ドルの投資を行なう予定であり、経済発展を実現する上で必要なポイントであると理解している。


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