経団連くりっぷ No.125 (2000年5月25日)

ラデフ・ブルガリア大蔵大臣との懇談会/4月25日

変貌するブルガリア経済と拡大するビジネス・チャンス


国際協力銀行と第2次金融・企業部門調整融資のアンタイド・ローン調印のため来日したブルガリアのラデフ大蔵大臣が、4月25日、経団連を訪問し、片田副会長と懇談した。ラデフ大蔵大臣からは、EU加盟を視野に入れたブルガリア政府の経済・金融改革の現状について説明を受けた。

○ ラデフ大臣発言要旨

ラデフ大臣

  1. 経済構造改革の推進
  2. ブルガリア経済は、1997年4月に誕生した新政権の下、過去3年間で著しい変化を遂げた。1997年上四半期以来、金融・財政構造改革プログラムを実施し、市場メカニズム体制が確立され、本格的な市場経済が導入された。同改革の結果、ブルガリア経済は大変好調である。1998年以降、GDP成長率はプラスに転じ、1999年度は2.5%の成長率であった。また、輸出の伸びも著しく、今年は前年度比10%増が見込まれている。

  3. マクロ経済・財政の安定
  4. ハイパーインフレ(1997年時点では500%超)に歯止めをかけることに成功し、現在では2%台まで低下した。また、ブルガリア通貨レフをドイツ・マルクに連動させ、固定相場制を導入することで、海外の投資家にとってもより良い環境・条件を提供することができた。自国通貨をマルクと連動させたもう1つの理由はEUへの加盟、さらにはユーロ導入に向けた諸準備の一環ということである。これらと並行して、証券・金融制度改革・整備を進めている。
    民営化については、1997年以降急速に進展しており、現在では国有企業の70%まで民営化された。残された部門は、通信、電力、煙草、鉄道、ガス等の巨大な国営企業だが、これらの多くも来年までには民営化の目処がついている。また、国有銀行の民営化も今年いっぱいで完了する予定である。

  5. 日本ブルガリア経済関係
  6. 加工食品(含 有機栽培作物)、エレクトロニクスおよび自動車部品等の分野への日本企業の進出を検討して頂きたい。日本企業が国内の産業基盤および低廉安価な熟練労働力を利用し、ブルガリアをEU諸国向け商品、パーツの生産拠点とされることを希望している。
    両国の経済関係は1997年11月の経団連訪中欧ミッション以来急速に深まってきているが、まだ潜在的な可能性が十分実現しているとは言い難い。近い将来、EU加盟の実現により、ブルガリアが日本企業に新たなビジネスの機会を提供することを確信している。


くりっぷ No.125 目次日本語のホームページ