経団連くりっぷ No.125 (2000年5月25日)

OECD諮問委員会(委員長 生田正治氏)/5月9日

OECDは民間産業界による貿易・投資活動を支援していく

−ジョンストンOECD事務総長との懇談会を開催


OECD諮問委員会は、来日中のジョンストンOECD事務総長を招いて懇談会を開催した。ジョンストン事務総長は、経済のグローバル化が進展する中、OECDとして、産業界の国際活動に対する支援を今後強化していくことを強調した。これに対し、当会側より、OECDが取り組んでいる主要分野に関して日本の産業界としての要望を伝えた。

  1. ジョンストン事務総長発言要旨
  2. 経済のグローバル化が急速に進展する中、OECDとBIAC(The Business and Industry Advisory Committee to the OECD)に代表される産業界との関係は従来にも増して重要なものとなっている。OECDは、各国の産業界が、共通の土俵に立って、貿易・投資活動を円滑に行なうことができるような環境を整備していきたいと考えている。
    OECDは、投資、競争政策、税制、電子商取引等のさまざまな問題に関してガイドラインを策定している。ガイドラインは、批准等の手続を要する条約より迅速に作成することができるというメリットがある上、加盟国間のピア・プレッシャーによって実効性も担保できる。
    また、企業の国際活動が一層の広がりを見せる中、OECD非加盟国との関係強化の要請が高まっている。特に、最近は中国関係のプログラムを積極的に進めている。
    さらに、急速なグローバル化に対する市民の不安の解消に向けた活動にも取り組んでいる。

  3. 懇談要旨
    1. 当会側より、OECDが取り組んでいる課題に対して以下のような要望を伝えた。

      1. 多国籍企業ガイドラインの改訂
        現在OECD多国籍企業ガイドラインの改訂作業が進められているが、その実施は企業の自主的な遵守努力に委ねられるべきである。また、企業に対し過大な要求を課し、自主的な遵守意欲を殺ぐべきではない。

      2. 電子商取引
        1998年のオタワ閣僚宣言、1999年の消費者保護に関するガイドラインなどを通じて、OECDが重要な基本原則を確立してきたことを評価する。しかし、行動規範や裁判外紛争処理といった民間の自主性に委ねられるべき問題に関して、今後、OECDがガイドラインを策定するなどして、規制を強めていくべきではない。

      3. バイオテクノロジー
        遺伝子組み換え食品の安全性の評価に関して、OECDは、確固とした科学的根拠に基づく検討を続けるべきである。また、持続可能な産業発展にとってバイオテクノロジーが果たす役割が高まることが予想されるので、OECDとしての取組みを強化すべきである。

    2. これに対して、ジョンストン事務総長および同席した西村OECD大使は、こうした要望事項を十分に検討し、OECDの活動に反映させていきたいと述べた。


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