経団連くりっぷ No.126 (2000年6月8日)

なびげーたー

BIAC総会に出席して

常務理事 藤原勝博


4月26・27日に、メキシコ・シティにおいて開催されたBIAC(Business and Industry Advisory Committee to the OECD)総会に出席した。以下は、その個人的な感想である。

総会では、当会OECD諮問委員会の生田委員長(商船三井社長)が、副会長に選任された。今年から会長の他、副会長を7人とし、8人で理事会を構成することになった。欧州4名、北米2名、アジア大洋州2名となる。アジアからのもう一人は韓国。欧州の4人はフィンランド(会長)の他、仏、独、英。北米は、米、加である。

1999年度の決算、2000年予算は原案通り承認されたが、懸案の加盟団体の会費分担基準については、日本の提案を含めた事務局案をもとに議論をしたが結論は出ず、理事会の指名する特別小委員会で原案をさらに絞り込み、本年11月の戦略・予算会議までに最終案をまとめることとなった。

今回の総会では、BIACの直面する二つの課題、(1)多国籍企業ガイドライン、(2)バイオ農業・食品に絞って熱心な議論が行なわれた。反大企業色を強める欧米のNGOがOECDの政策論議の場で、影響力を増している。これに経済界がどう対応していくかという問題意識が底流にあり、この点について日本と欧米の経済界の間に大きな相違はない。バイオについては、日本の経済界は遅れたバイオ産業の競争力をいかに強化していくかという問題意識が強い。だが、欧州の場合は、バイオ食品の安全性をめぐり、開発企業と消費者、NGOとの間で議論が沸騰している。米国は、バイオの技術開発とグローバル化に邁進している。欧米間では、バイオ食品の表示をめぐって政府間で摩擦も起きている。この二つの課題は、6月のOECD閣僚理事会、7月の沖縄サミットでも取り上げられるが、今後、日本の経済界も深く係わっていかねばならない。

OECD−BIACの加盟国は、現在29カ国。欧州、北米、アジア太平洋に広くまたがっている。BIACの諸会合はパリで開催されることが多い。遠くまで出張せねばならない日、韓、豪、等は時間、経費の上でも大変であり、会議参加が難しくなる。そこで、BIAC本部では近年、Eメールや電話会議など情報技術を大いに活用しており、成果も出ている。この傾向はさらに強まるであろう。われわれも、内外にわたる日常業務の電子化を今後一層強化し、効率化、迅速化を図らねばなるまい。

私が初めて外国出張をしたのが、1965年のBIAC総会(パリ)であった。その前年、日本はOECDに加盟し、国をあげて喜ぶと同時に資本自由化の義務を負った。当時、経団連は石坂会長の時代であった。日本は、資本自由化に官民あげて真摯に対応し、今日の経済発展を遂げた。あれから既に35年。マルチの場における日本の立場、対応についていろいろ考えさせられることが多い。また自分の非力を思うと内心忸怩たるものがある。


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