経団連くりっぷ No.127 (2000年6月22日)

日本イラン経済委員会(委員長 相川賢太郎氏)/5月23日

イランは魅力的な投資先

−イランの第3次経済開発5ヶ年計画に関するセミナーを開催


日本イラン経済委員会では、ニリ予算計画庁次官、ホセニ石油省国際担当次官、ダッドマン運輸省次官らイランの関係者を招いてセミナーを開催し、現在推進中の第3次経済開発5ヶ年計画について説明をきいた。

  1. ニリ予算計画庁次官発言要旨
  2. イラン経済は失業という問題に直面しており、経済活動の拡大が重要な課題となっている。民間部門に対してより活発な活動を奨励し、長期的な投資を受け入れなければ、安定した経済が継続していかなくなるだろう。第3次計画では、マクロ経済対策に加え、分野別に戦略的な課題を分析し、政策提言を行なっている。
    第3次計画は5年間を通じてGDP6%成長を目標にしている。民間投資の伸びは年8.5%、公共投資は年5%の伸びを見込んでいる。インフレ率の目標圏設定は、金融政策の重要な柱となっており、過去5年間の26.5%に対して、5ヶ年計画の期間中は平均15.9%を目標にしている。

  3. ホセニ石油省国際担当次官発言要旨
  4. 日本はアメリカに次ぐ石油消費国で、7割以上を中東諸国から輸入している。石油ショックを機に、日本の石油会社はさまざまな場所で積極的に油田開発を行なった。しかし、リスクやコストの高い場所が多く、余り成功していないという見方もある。リスクとコストが低い例えばイランに投資すれば、利権や収益も大きくなろう。
    イランは天然ガスの埋蔵量も多く、安定的に石油を提供することができる。外国投資家に対して、関税免除といったインセンティブも準備している。イランの法律に則ったバイバック契約が、石油ガス開発プロジェクトに使われている。このスキームは国際石油会社の期待にも応えるもので、投資リターンとして原油の輸入を確保しうる。

  5. ダッドマン運輸省次官発言要旨
  6. 第3次5ヶ年計画では、運輸部門の民営化を推進するとともに、国の独占を最小限に押さえるよう、政治・経済的に新しい手法が取られている。輸送については、安全でコスト効果が大きく、時間通りの交通の流れを確保することに重きが置かれている。
    特に海運や港湾、鉄道の優先度が高い。

  7. 質疑応答(要旨)
  8. 経団連側:
    外国企業を誘致するにあたり、イランが近隣諸国と比較して有利な点があるか。

    ホセニ次官:
    海外投資家は下流部門について関心が高く、ペルシャ湾北部に石油化学と化学に関して30余りのプロジェクトを予定している。プラントに対して外資が100%出資することも可能である。長期に渡って、部品や原材料の輸入関税を免税し、外貨による送金や輸出も可能である。これらの点でサウジに比べると有利となっており、加えてインフラ設備(道路、空港、宿泊設備、電力、ガス)も整っている。

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