経団連くりっぷ No.128 (2000年7月13日)

今井会長の発言から


6月15日(木)
中国の投資環境を改善して外国企業の誘致に努める必要があります
−北京の中国政治協商会議21世紀フォーラム

「グローバリゼーション、IT革命の急速な進展によって、資本、技術、商品は国境を越えて動いており、経済活性化のためには、外資の導入が大きな鍵となっています。1995年をピークに日本からの対中直接投資は減少しています。このように日本企業が中国進出を躊躇していたのは、日本経済の低迷だけでなく、中国の投資環境にも問題があります。
第1は、製品販売・営業の問題です。1年以上回収できない売掛金(延滞債権)を抱えて悩んでいる日系企業が数多くあります。また、知的財産権保護法はあるものの、守られておらず、コピー商品の氾濫が問題になっています。第2は、合弁・合作の企業経営の問題です。中国側パートナーが国内販売において、なかなか日本側の期待に応えてくれず、期待はずれの状態になっています。第3は、中国政府の外資政策が頻繁に変更されるという問題です。外貨管理の強化や加工貿易に対する新管理措置が実施されましたが、『実施までに十分な猶予期間を設けてほしい』、『実施にあたって周知徹底してほしい』、『地方ごとの運用差を無くしてほしい』といった要望が日系企業からだされています。
もちろん、日本企業はじめ外国企業は、中国市場のポテンシャルについて、高く評価しています。その高いポテンシャルを現実のものとするため、法律・制度の改善や運用の徹底、国際的に通用するビジネス・マインドの涵養などが必要です。こうした中国側の努力が実を結べば、世界中の企業が、こぞって中国に進出する日も近いと思います。」

7月3日(月)
ゼロ金利政策の変更は時期尚早と思います
−会長・副会長会議後の記者会見

「ゼロ金利政策を早く是正すべきであるという意見がありますが、消費者物価は下がっているので、実質金利はゼロでなくプラスです。卸売物価は上がっていますが、これは石油価格の値上がりの影響によるものです。このような状況では、ゼロ金利政策の解除は時期尚早と思います。
また、いま日本の金利を引き上げれば、長期金利が上昇し、債券価格が下落したり、円高となって輸出に対して悪影響が生じる危険性もあります。1−3月のGDPはプラス成長になりましたが、これまでの落ち込みの反動やうるう年といった要素もあるので、楽観は禁物です。少なくとも、9月に公表される4−6月のGDPの動向を見ないといけません。もう1期様子を見て、本格的に景気が回復しているのかどうか見極めなくてはなりません。現段階では、こうしたさまざまな要素を総合的に勘案して、ゼロ金利政策の変更の必要性はありません。」


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