経団連くりっぷ No.128 (2000年7月13日)

日タイ貿易経済委員会(委員長 草道昌武氏)/6月9、10日

危機後のタイの経済と産業構造高度化

−第16回日タイ合同貿易経済委員会を開催


日タイ貿易経済委員会では、タイの経済3団体(タイ貿易院、タイ工業連盟、タイ銀行協会)との間で、6月9日と10日の両日、第16回合同委員会をバンコクにて開催した。日本側からは草道委員長以下約60名が参加し、タイ側からはチュラコーン銀行協会会長、ヴィチェン貿易院会長、タウィー工業連盟会長以下約110名が参加した。また、草道委員長は6月8日、タリン蔵相とアピシット首相府相(投資担当)を表敬訪問した。

  1. タイ経済に回復の兆しが見られる中で開催された今回の会議では、この回復を本格的かつ持続的なものとし、日タイ経済交流を一層拡大させるための諸課題ならびにその解決策について、率直な意見交換を行なった。また、本年3月の経団連東南アジア・ミッション(団長:今井会長)のフォローアップも兼ねて開催された。
    タイ経済の現状については、タイ側より、回復傾向にあるが、業種によりその程度にはばらつきが見られるとの報告があった。不良債権比率は、1999年5月のピーク時の47.7%から本年4月には36%にまで低下したが、既存の不良債権の処理が進む一方、新たな不良債権が増えているとの説明があった。

  2. また、経済危機の発生以降、タイは自由で公正な競争を促進しつつ良好な事業環境を維持するため、各種法制度の改革に努めてきたとの説明があり、外国企業に関連するものとして、外国人事業法や破産法、外国人の不動産所有に関する諸法、労働法等の改正を行なったとの報告があった。

  3. 今回の危機を通じて、タイは産業構造の高度化の必要性を痛感しており、会議でも、タイが製造拠点としての国際競争力を強めるためには裾野産業ならびに中小企業の育成が欠かせないとの点で双方の認識が一致した。これに関連してタイ側から、タイの中小企業が資金不足や品質改善、熟練労働者の育成等に取組む必要があるとの認識が示され、日本側として、さまざまなルートを通じてこれに協力することとした。

  4. この他、経済のグローバル化に対応して、IT革命やWTOを含む通商政策、円の国際化等の問題についても意見交換を行なった。IT革命については、企業や個人に新たなビジネス機会を提供する一方、いわゆるデジタル・デバイドなどさまざまな課題も生じているとの意見が出された。WTO新ラウンドへの取組みについては、双方の立場が共通する部分も多く、今後とも情報交換を続けることになった。さらに、円の国際化については基本的に双方の意見が一致した。


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