経団連くりっぷ No.128 (2000年7月13日)

日本・インドネシア経済委員会(委員長 上島重二氏)/6月5、6日

インドネシア経済の持続的な成長を

−第16回日本・インドネシア合同経済委員会を開催


さる6月5、6日の両日、ジャカルタにおいて第16回日本・インドネシア合同経済委員会が開催された。日本側からは上島委員長以下73名、インドネシア商工会議所連合(KADIN)側からはクスモA.M.インドネシア・日本経済委員長以下80名が出席し、意見交換を行なった。

  1. 今回の合同委員会は、本年3月下旬の経団連東南アジア・ミッションのフォローアップを兼ねる形で開催され、回復の兆しを見せ始めたインドネシア経済を持続的な成長につなげていくための諸課題について、率直かつ建設的な意見交換が行なわれた。会議では、両国の経済状況に関する報告に続いて、大きく3つのテーマが取り上げられた。

  2. 第1は、民間債務問題の早期解決である。ワヒッド新政権の下、インドネシア銀行再建庁(IBRA)の権限強化等、さまざまな解決策により進展も見られ始めたものの、抜本的解決には至っていない。問題解決のスピード・アップの必要性については、インドネシアの経済界も強く認識しており、両者の合意の下で共同声明にも書き留められた。

  3. 第2は、投資先としてのインドネシアの信認をいかに高めるかという点である。そのために、既存契約の尊重や経済ルールの透明性の向上が重要であることが確認された。また、投資環境整備に関連して、労働問題にも焦点が当てられた。インドネシア側からは、3月末に調印された政府、KADIN、労働組合の三者間合意を活用したらどうかという提案があった。

  4. 第3に、将来に向けた両国の経済関係の強化並びにアジア地域の更なる経済発展を目指すという観点から、IT産業など新たな分野における協力や通貨・為替の安定化に向けた協力などが話し合われた。IT産業については、デジタル・デバイドを克服すること、電子署名・認証制度などITに関わる各種ルールの整合性を確保するために共同で取り組む必要があること等が確認された。また、円の国際化については、インドネシア側からも円の利用促進に努めたいとの見解が示される一方で、日本企業自身が円建て取引に自信を持っていないのではないかという発言もあった。なお、会議終了後、一部団員は、ワヒッド大統領、メガワティ副大統領、アルウィ外務大臣およびスディブヨ大蔵大臣を表敬訪問した。

  5. 日本・インドネシア経済委員会としては、投資環境の一層の整備をインドネシア側に求めると同時に、インドネシア経済の回復を促すための協力方法について引き続き検討していく。


くりっぷ No.128 目次日本語のホームページ