経団連くりっぷ No.129 (2000年7月27日)

なびげーたー

「対決」から「競争」・「協調」の時代に入った日米経済関係

国際経済本部長 久保田政一


去る7月9日から11日にかけて、第37回日米財界人会議が開催された(於、東京)。以下は同会議の概要ならびに感想である。

  1. 7月9日から11日にかけて東京において、第37回日米財界人会議が開催され、日米合わせて90名のビジネスリーダーが参加した。初日の全体会議では、槙原(三菱商事会長)、アームストロング(AT&T会長)の両議長の挨拶をはじめ、今井会長から「日本の政治経済状況」の報告等があった。その後、業種毎に「情報技術」、「製造」、「サービス」の3つの分科会に分かれそれぞれの関心テーマについて率直な意見交換が行なわれた。

  2. 両議長の強い意向を反映して、「共同声明」は、双方が関心を有する具体的課題についてのアクションプログラムとなった。例えば、「一層の構造改革と規制緩和」、「日米租税条約」、「電気通信分野における競争の強化」、「電子商取引とサイバー・セキュリティー」「電子政府」、「WTO」、「ダンピングと制裁」等々の項目があげられている。

  3. 米国経済が好調なこと、日本経済も漸く深刻な不況から脱出し、次第に明るい展望が見えつつあること、通商摩擦案件が比較的少ないことから、これまでのような、双方が非難しあうという「対立」の構図から、両国の企業・経済界がいかに「競争」・「協調」していくかに議論の焦点が移っていったことが、今回の会議の特徴であった。特に、グローバリゼーションとIT革命の潮流の中で、お互いに学ぶべきこと、制度のハーモナイゼーション等、共に両国政府に求めていくべきことについて、率直な意見交換ができたことは、誠に有意義であった。また、「iモード」をはじめ、情報通信の分野においてわが国としても明るい展望が次第に開け、「デジタル・エコノミー」の姿が見えつつある中で、実りある議論ができたことは、幸いであった。

  4. 今回の討議では、経団連の関係委員会の提言、審議等の成果がさまざまな形で活用された。今後ますます「民」主導の経済、経済政策が求められる中、経団連事務局としてもビジネスの最先端に直接関連する政策問題について、これまで以上に勉強し、会員企業のニーズに応えていくよう努力する必要があろう。とりわけ、日米欧の経済界が連携して、WTOの推進やさまざまな制度・標準のハーモナイゼーションを進めることは喫緊の課題であり、これらの問題を所管する国際経済本部の果たすべき役割は非常に大きいことを改めて痛感した。


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