経団連くりっぷ No.130 (2000年8月10日)

第5回アジア隣人会議(議長 今井会長)/7月18〜19日

アジアにおける新たな地域協力のあり方について意見交換


アジア隣人会議は、経団連がミッションの派遣や二国間委員会の開催に際して協力を得ているアジア各国・地域の経済団体の長を招き、インフォーマルな雰囲気の中で共通の関心事項について自由に意見交換を行なう会議である。7月18日から19日(18日は夕食会のみ)にかけて東京で第5回会議を開催し、日本を含むアジアの10ヵ国・地域から16名の出席を得て、通貨・金融問題やIT産業発展のための協力等について意見交換を行なった。

  1. 会議は7月19日に行なわれ、第1セッションが「各国・地域経済の現状と今後の見通し」、第2セッションが「アジアにおける新たな地域協力のあり方」、そして第3セッションが「グローバル経済の進展と企業間協力」というテーマで、経済危機を経たアジアにおける新しい通貨・金融協力のあり方や、貿易・投資促進のための協力、IT発展のための協力のあり方等について、それぞれ今井会長の冒頭発言に引き続き自由討議を行なった。

  2. 第1セッションでは、各参加者から、それぞれの国・地域が現在抱えている課題や今後の発展戦略を中心に発言してもらった。ここでは、1997年からの経済危機から各国・地域とも順調に回復しているとの報告があった。しかし、回復の度合いについては多様であることも報告された。

  3. アジアの新たな為替制度や円の国際化等の問題に関する討議では、貿易量でウェイトを付けた通貨バスケットが有用であるとの点で参加者の意見が一致した。併せて、今年5月のASEANプラス3蔵相会議で発表されたチェンマイ・イニシアティブ(ASEANスワップアレンジメントとASEAN、中国、韓国、日本との間の二国間スワップおよびレポ取極のネットワーク)を支持するとの点で意見が一致した。

  4. また、WTOを中心とする多角的な貿易体制の強化については、交渉の結果が全ての国に裨益するものでなければならないとする一方、農業問題など国内問題の調整に各国が努力する必要があるとの点で意見が一致した。また、WTOを補完するものとしての二国間FTA(自由貿易協定)の必要性についても言及があった。

  5. IT革命の影響に関する討議では、ITの推進は消費者中心で行なう必要があるといった意見や、今後のe-economyの世界では、経済規模が小さい国でも勝利者になれるとの意見が出された。さらに、デジタル・デバイドの問題に関連して、教育の必要性が強調された。

  6. 最後に次回会議のあり方についても討議し、今回の案内先をベースとして、経団連主催により日本で開催することで各参加者の同意が得られた。


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