経団連くりっぷ No.130 (2000年8月10日)

日本ブラジル経済委員会2000年度総会(委員長 室伏 稔氏)/7月14日

ブラジル経済はきわめて良好

−ヘイス駐日ブラジル大使よりきく


日本ブラジル経済委員会では、2000年度の定時総会を開催し、1999年度事業報告・収支決算、2000年度事業計画・収支予算、役員改選を審議し、原案通り承認した。当日はヘイス駐日ブラジル大使より、最近のブラジルの経済情勢等について説明をきいた。ヘイス大使はブラジル経済の順調な回復を強調し、日本企業がかつてのようにブラジルにおける優位を回復することへの期待を表明した。

○ ヘイス大使説明要旨

  1. 経済は順調に推移
  2. 現在、ブラジル経済は順調に推移しており、ブラジルに対し辛辣な評価をしがちなアルゼンチンのエコノミストでさえ、きわめて良好と評している。ちなみに2000年3月までの12ヵ月間のGDP成長率は3.1%であった。本年のインフレ率(拡大消費者物価指数)は目標の6%を下回り、短期金利も12月には14.5〜15.0%に下がると予想されている。財政規律の強化、行政改革と経済回復の相乗効果により、中央政府の財政収支は利払いを除けば黒字に転換した。
    米国金利が大幅に引き上げられブラジル経済に影響が及ぶことが懸念されたが、当面その可能性は少ないと思われる。隣国のアルゼンチン経済は不況と失業に悩まされているが、ブラジル経済とメルコスールへの影響は予期されたほど深刻ではなかった。
    ブラジルは石油需要の20%を輸入に依存しているが、輸入先のサウジアラビアは石油輸出価格が25ドル/バレルを超えないことを約束した。ペトロブラスと日本の商社グループの協力により、石油増産のためカンポス油田の開発が行なわれる予定である。
    国内金利の下落にもかかわらず、為替は安定している。一次産品価格の堅調、工業製品輸出の大幅増加により2000年末の貿易黒字は26億ドルにのぼると予想される。

  3. 日本企業の活発な進出を期待
  4. アジア危機、ロシア危機はむしろブラジル政財界の危機感を高め改革の実現を早めるというプラス効果をもたらし、その結果、国際金融界のブラジルに対する信頼感が強まった。経済回復によりブラジル市場の購買力は急速に伸びつつある上、メルコスール2億人の市場が背後に広がっている。
    民営化はブラジル国内の生産構造に大きな変化をもたらし、外国資本も巻き込んだ企業買収・合併のうねりを誘発した。北米企業の積極的な進出の一方でドイツと日本の後退が目立ち、代わってスペイン、ポルトガルの進出が活発化している。
    ブラジルの伝統的なパートナーである日本企業の地位の後退は懸念される事態であり、新しい経済秩序の中でかつての地位を回復することが望まれる。「21世紀に向けたアライアンス」構築のためのアクション・プランの作業を通じて、伝統的な日伯間の友好関係の枠組みの中で良好なパートナーシップが実現されると期待している。


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