経団連くりっぷ No.130 (2000年8月10日)

日タイ貿易経済委員会2000年度総会(委員長 安居祥策氏)/7月24日

安居 帝人社長を新委員長に選出


日タイ貿易経済委員会では、2000年度の定時総会を開催し、1999年度事業報告・収支決算、2000年度事業計画・収支予算、ならびに委員会規約の一部改正を審議し、原案通り承認するとともに、役員改選を行ない、草道昌武日商岩井相談役にかわり、安居祥策帝人社長を新たに委員長に選出した。また当日は、サクティップ・クライラーク駐日タイ大使からタイの政治情勢と日タイ関係についてご講演いただいた。

○ サクティップ大使講演要旨

  1. タイの下院では、野党議員が大量辞職して、チュアン首相を早く選挙に踏み切らせようとしている。これが最近のタイ・バーツ安の一因ともなっている。しかし首相は、予算案など主要法案を通すまでは解散しないと明言しており、為替もほどなく安定するだろう。個人的には、チュアン内閣は今年10月の下院の任期満了まで存続し、選挙は9月頃実施されると見ている。

  2. 日タイ関係は現在、良好である。今年に入ってから、両国首脳は2度ずつ互いの国を訪問しており、両国関係はこれまでになく緊密であるといえよう。タイ経済は順調に回復しており、政府は持続的成長と経済構造改革に向けてさまざまな努力を行なっている。しかし人材育成やIT発展に関しては、今後とも日本を含む国際社会の支援が必要である。経団連には、在タイ日系企業による人材育成協力を促進してほしい。

  3. 今年の1−5月、日本のタイからの輸入は対前年同期比で19%増えた。日本からタイへの投資も、件数で24%、金額で73%、それぞれ増えた。タイ政府は、民間投資に適した投資環境の整備・維持に引き続き努めるとともに、多国籍企業によるタイへの地域本部設立誘致に注力する。こうした方針のもとで、今年8月1日から、在タイの地域本部に対する所得税を向こう5年間免除することとしたほか、地域流通拠点に対する機械輸入関税と所得税を8年間、免除することとした。さらに、部品や既製品の国際調達事務所に対する機械ならびに部品輸入関税も免除することとした。今年7月21日、バンコクにビジネス・サポート・センターが設置された。日本企業にも今後、大いに活用してもらいたい。

  4. ITについては、6月の日タイ合同貿易経済委員会でも話し合われたときいている。ITは電子商取引だけでなく、教育や科学、技術、保健などの分野でも活用される必要がある。チュアン首相は先週、G8代表との会合で、いわゆるデジタル・デバイドを防ぐために、新たな技術やノウハウ、統治管理システムの面で遅れている途上国に対するキャパシティ・ビルディングが必要であると発言した。その意味で、経団連が先日発表したITに関する提言は、非常に時宜を得たものと考える。


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