日本ロシア経済委員会(委員長:安西邦夫氏)では、日本企業の対ロ直接投資を促進するため、本年7月、対ロビジネスに関するアンケート調査を行なった(94社中29社回答)。今回の調査で、明らかになったことのひとつは、日本企業はロシアにおける遵法精神の欠如に依然悩まされていることである。この点については、1998年に当委員会が実施した調査結果でも指摘され、改善方をロシア政府に要望してきたところであるが、状況は変わっていない。
ロシアとのビジネスで最大の障害として、「法制度・税制の未整備」を挙げている企業が最も多く、つづいて「運用基準が不明確で恣意的」「法・税体系を把握できない」「当局の指示通り納税すると赤字になる」「窓口が最新税法を把握してない」「免税を含む外資優遇措置が不備」と答えている。
このほか、産業政策の不在、会計制度の国際的な整合性の欠如、金融制度・輸送システム・通信システムの未整備、不安定な電力供給、煩雑なビザ取得手続き、治安等のビジネス・インフラに関する指摘も多かった。日本ロシア経済委員会では日本政府とも協力して、ロシア政府に対してこうした問題の改善方を働きかけていく予定である。
法制度・税制の未整備 | 22社 ※ |
ロシア企業の資金不足 | 16社 |
法律、税制など規則の運用 | 12社 |
未整備の金融・銀行制度 | 12社 |
ロシア人のビジネス感覚 (市場経済への適応性の低さ) |
11社 |
中央と地方との関係 | 6社 |
旧ソ連時代の貿易債権 | 6社 |
ロシアに対する日本側の理解不足 | 6社 |
当局の不当な介入 | 5社 |
(1) 法制度の未整備 | ||
不明確で恣意的な運用 | 21社 | |
全容の把握困難 | 15社 | |
頻繁な変更 | 14社 | |
法の執行 | 7社 | |
窓口への不徹底 | 6社 | |
施行細則の策定に時間がかかる | 3社 | |
(2) 税制上の問題 | ||
税体系が複雑で種類が多すぎる | 14社 | |
頻繁に変わる | 12社 | |
高すぎる | 11社 | |
外国企業に厳しい | 5社 | |
特定の社会団体に対する優遇制度 | 5社 | |
見做し課税の還付に時間がかかる | 5社 | |
税関等の窓口毎に解釈が異なる | 3社 |