経団連くりっぷ No.131 (2000年9月11日)

今井会長の発言から


7月26日(水)
ITを核にした新しい比較優位のある産業を北海道で育てましょう
−北海道経済懇談会記者会見

「日本経済は民需主導の自律回復軌道に乗りつつありますが、地域によってはまだら模様となっています。北海道は、有珠山の噴火により、観光産業などが悪影響を受けており、厳しい経済情勢が続いています。こうした地域の状況を考えれば、財政、金融の支援が当分の間、必要だと思います。しかし、公共事業の配分は、ばらまき型ではなく、優先度をつけなくてはなりません。北海道のニーズに即して、北海道の経済発展の起爆剤になるものや、物流の効率化など費用対効果の点で優れているものに重点的に投資すべきと思います。
北海道が比較優位をもつ産業を育てるため、産学官が連携して『産業クラスター構想』や『コラボほっかいどう』といった事業を進めていくことが大事です。札幌駅北口周辺には、IT関係のベンチャーが集積して札幌バレーを形成しています。ソフト開発は、どこでもできます。ITを核にして、北海道の産業をリードしていくことが大事です。」

8月7日(月)
統合によって社会保障問題に一層インパクトのある提言をします
−経団連と日経連の統合に関する記者会見

「日経連の奥田会長が経団連との統合に踏切る発言をしたことに敬意を表します。統合の大きな意義は、社会保障問題について、一本化した提言を行なう方が効果がより大きくなるということです。社会保障の給付は現在75兆円となっており、このうち25兆円が企業の負担です。これは、法人税の10兆円を大きく上回った金額です。しかも、現行制度を放置すれば、高齢化の進展によって、2025年には負担が3倍に膨れ上がります。また、企業と同じ金額を個人(従業員)が折半して負担しているので、個人の負担も3倍に膨れ上がることになります。
経済は、企業と個人の活動によって支えられており、企業と個人の創意工夫が活かせる環境づくりをすることが、経済団体の責務だと思います。こうした観点にたって、社会保障問題における発言力の強化をはかります。さらに、公益法人全般の見直しにあたっても、両団体の統合は大きな影響を与えると思います。いったん設立された団体を整理・合理化することはなかなか大変です。経団連と日経連の統合が、さまざまな公益法人の見直しの引金になればと思っています。」


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