経団連くりっぷ No.131 (2000年9月14日)

日本メキシコ経済委員会(委員長 川本信彦氏)/8月24日

日墨投資協定を現政権中に実現したい

−ブランコ メキシコ商工大臣と懇談


来日したメキシコ合衆国のブランコ商務工業振興大臣を迎え、メキシコの経済・通商政策について説明をきいた。メキシコでは7月の大統領選挙の結果を受け、12月にPAN(国民行動党)のフォックス新政権が発足することとなっている。ブランコ商工大臣は、新政権下でも政策の継続性は維持されると強調し、日墨投資協定を現政権中に実現したいと述べた。

○ ブランコ商工大臣発言要旨

  1. 7月2日に暴力や介入もなく大統領選挙が実施され、政権交代が実現することとなった。敗北した与党側が選挙結果をただちに受け入れた事実は、政治的にも経済的にもメキシコが成熟した証といえる。
    今年上半期の経済指標を見ると、メキシコ経済は実質成長率7.6%と好調である。失業率は1987年以来最も低く、インフレ率も目標よりも低い値で推移している。海外からの直接投資も上期は22%伸びた。選挙前の不確定な時機に投資を決定したことは、外国企業のメキシコへの信認を表している。

  2. フォックス政権の6年間も力強い経済成長が期待できる。金融、貿易政策は引き継がれ、財政政策については3年後に黒字にすることを目指している。中銀総裁の任期は憲法により2003年まで保障され、新大統領もインフレ撤廃に尽力することを表明しており、金融政策は変更されないだろう。貿易政策については、既に28ヵ国と自由貿易協定を締結しており、7月1日からEUとの間でも協定が発効した。

  3. 規制緩和については、大統領府や政府が新たな規制を導入する場合には、議会に規制法案を提出する30日前に、民間人も参加する審議会のアセスメントを受けなければならない。審議会は30日以内に意見を出すことになっている。

  4. フォックス候補は政権発足2年半以内に、全省庁のデータを1つのサーバーで管理するシステムを導入することを約束しており、IDナンバーを1回使うだけで、すべての行政手続きが完了することになるだろう。

  5. 最近の日墨貿易投資関係は拡大しており満足している。2001年のマキラドーラ制度の変更によって発生する問題は、概ね解決されたと認識している。自動車部品が未解決であるが、9月末までに生産振興プログラムを完成させたい。二重課税問題についても、メキシコで課税されたら米国で課税されない制度が確立できるよう努力している。OECDがそういった考え方をサポートしてくれるよう働きかけている。

  6. 先ほど平沼通産大臣と会談した。早期に日墨自由貿易協定を締結すべく、お互いに努力しようと申し上げてきた。二国間投資協定について、日本は独仏より厳しい立場をとっているが、今回日本の立場を100%満足させる提案をしてきたので、現政権中に締結できると確信している。経団連が日墨自由貿易協定を積極的に推進する活動に取り組んでいることは心強い。


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