東亜経済人会議日本委員会2000年度総会(委員長 香西昭夫氏)/7月25日
東亜経済人会議日本委員会では、7月25日、2000年度総会を開催し、1999年度事業報告・収支決算、ならびに2000年度事業計画・収支予算を審議し、原案通り承認した。また当日は、羅福全台北駐日経済文化代表処駐日代表から、「陳水扁新総統の誕生と今後の台湾の行方」について説明をきいた。
3月18日の総統選挙で陳水扁氏が当選したのは、決して偶然の結果ではなく、戦後の経済発展と12年間の李登輝前総統時代に進展した民主化という「台湾経験」がもたらした帰結であった。得票率こそ39.6%であったが、その後の世論調査(6月20日)では、陳総統への支持率は80%となっている。新政権は、政党を超えて国のために尽くすとする「全民政府」である。唐飛行政院長を主班とする内閣の閣僚は、3分の1が民進党出身者、3分の1が国民党出身者、残り3分の1が学者および民間人となっている。国会にあたる立法院では与野党が逆転しているが、一般民衆の陳総統に対する支持は高い。試行錯誤を繰り返しながら民主政治が定着していくものと考える。
台湾は2,300万人の人口を抱えており、一人当たりのGDPも約14,000ドルとOECD諸国に伍する存在である。国交を結んでいる国の数は少なく、国際情勢も厳しいが、実務外交を通じて生存・発展する空間を求めている。WTOにも今年中に加盟したい。両岸関係については、陳総統は、大陸が武力を行使する意図がない限りにおいて、独立を宣言しないこと、国体の変更につながるいかなる組織変更も行なわないこと、憲法も国号も変えないことを明言している。
日台経済関係は緊密で、貿易額は425億ドルにのぼり、人の往来も活発である。昨年の台湾大地震の際には、日本からも緊急援助隊が来てくれたほか、多くの義援金を寄せていただいた。政権は交代したが、対日関係については「古い幹に新しい花を咲かせたい」という気持ちである。