経団連くりっぷ No.131 (2000年9月14日)

社会貢献担当者懇談会−社会基盤整備(共同座長 瀬尾隆史氏)/8月9日

NPO支援税制は不可欠

−社会の多彩なニーズに対応できるNPOの活動促進


NPO法施行2年を目前に高まるNPO法人への支援税制措置を巡る議論について、シーズ=市民活動を支える制度をつくる会(C's)の松原明事務局長より説明をきいた。

○ 松原事務局長説明要旨

  1. 税制等の支援策が必要な現NPO法
  2. 1998年12月に施行されたNPO法(特定非営利活動促進法)は、NPO(民間非営利団体)に法人格を与えることで、市民が行なう社会貢献活動の健全な発展を促進し、公益の増進に寄与することを目的としている。今までに2,400以上のNPOが法人格の認証を受けている。
    しかし日本のNPOは財政基盤の未発達ゆえに活動が制約されがちで、NPO法制定時に見送られたNPOに対する税制支援策を求める声が強まっている。またNPO法制定時の国会の附帯決議でも、税制を含めた改正について法施行後2年以内に検討し、結論を得るものとしている。

  3. NPO支援税制措置の検討状況
  4. NPO法改正の検討は、超党派のNPO議員連盟や各政党、政府(大蔵省、国税庁、経済企画庁)、NPOを中心とする民間で、それぞれ進められてきた。議員連盟は「NPO支援税制に関する提案(第一次)」を昨年12月に発表しており、各党もNPO委員会をつくって検討中である。6月に国民生活審議会総合企画部会中間報告、7月に政府税制調査会中期答申が出されているが、いずれの報告も、NPOの実態を見極め、相当の公益性を要件とし、かつその判断基準や担保の仕組みを整備することをNPOに対する支援税制措置の検討課題としている。NPO側も、全国のNPO28団体からなる「NPO/NGOに関する税・法人制度改革連絡会」を結成し「NPO支援税制に関する提言」の発表等の活動を行なってきた。

  5. 個人の寄付金の所得控除が重要
  6. NPOは自主自発の精神に基づき、市民のニーズや価値観を反映した多様な公益活動を行なう団体で、市民の代弁者と言われる。しかし日本のNPO法人は、市民の寄付者である会員数100人未満が半分以上であり、活動基盤が脆弱である。日本の公益活動に市民の価値観を反映させ、個々の市民が幅広く市民活動を支えるためには、そのツールとしてNPOへの個人寄付が重要となる。NPO法人支援税制の中でも特に個人の寄付金の所得控除措置が重要と考えている。
    社会の多彩なニーズに対応できるNPO育成に資するNPO法人支援税制は、寄付者側にもメリットがあるだろう。寄付者たる企業関係者の積極的な議論への関与をお願いしたい。NPO側としては9月中旬以降、NPO支援税制の全国的なキャンペーンを展開する予定である。


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