第33回東北地方経済懇談会/9月28日
経団連と東北経済連合会(東経連)は標記懇談会を仙台市にて開催した。地元経済人約250名の参加のもと、経団連側より今井会長、辻・前田・鈴木・大賀・荒木・香西の各副会長が出席し、活発な意見交換を行なった。また、懇談会に先立ち、経団連側は東北大学未来科学技術共同研究センターを訪問し、知的機能を備えた電子システムなど先端的な研究開発の諸事例を視察した。
最近の東北経済については、住宅投資や公共投資の低調な推移にもかかわらず、緩やかな回復が持続している。しかし、その足取りは力強さに欠け、政府に対しては引き続き経済対策の実施を期待したい。
東北では、新産業・新事業の創出を目指して、産学官連携のもと「東北インテリジェント・コスモス構想」および「東北ベンチャーランド運動」を推進している。
こうした産業や観光振興のためには、東北の自立と連携を支える基礎的社会資本整備が急務であるが、このところ地方の現状や主張を無視した一方的な公共投資見直し論が出ていることを懸念している。社会資本整備に当たっては、短期的な経済効率ではなく、21世紀の国土のあるべき姿を見据えた長期的な視点が重要である。
東経連では、東北の発展を切り拓く新しいビジョンとして、2015年を目標年次とする「ほくと七星構想」を策定した。構想の基本目標として「ゆとりと美しさに満ち、自立する東北広域連携圏の形成」を掲げ、従来の中央依存型の意識・構造を改め、個性豊かな東北の創造に向け主体的に取り組む。この基本目標実現のため、
本年4月に地方分権一括法が施行されたが、地方分権の裏付けとなる財源移譲は先送りされており、地方の自主財源の割合が低い。この状況から脱却するためには、所得税、法人税など国税の一部を地方税収化するなど、自治体の自立的な財政運営を可能とする地方財政の拡充を図る必要がある。
併せて、地方への財源移譲とともに、分権の受け皿となる地方自治体自らの改革を強力に推進する必要がある。効率的で質の高い地方行政システムを構築するためには、行財政改革による大幅な財政支出削減とともに、民間の経営手法の導入が有効である。
首都機能移転に関しては、「福島・栃木地域」が答申で移転先候補地の一つと選定され、東経連では「環境文化首都」を提唱している。移転実現に向け国民的な合意形成が図られるよう働きかけていきたい。
東経連では、新技術・新産業創造への取組みとして、
東経連では、東北のグローバル化という観点から、「東北地域における外国人観光客来訪促進戦略」に重点的に取り組んでいる。東北地域は豊かな自然、固有の歴史文化等を有し、外国人旅行者にとって、大都市にはない日本の魅力を備えている。
しかし、東北を訪れる外国人旅行者は約20万人であり、訪日外国人の約5%に過ぎない。2002年ワールドカップなど、東北で開催される国際スポーツイベントを絶好の契機とし、外国人観光客を誘致したい。
東北が克服すべき課題は、
前田副会長から産業新生会議と税制改正提言について、鈴木副会長よりITを軸とした構造改革について説明がなされた。また、大賀副会長から行政改革の推進に向けた取組み、辻副会長より環境問題への対応、さらに荒木副会長からエネルギーをめぐる最近の動向についてそれぞれ発言した後、香西副会長より広域連携を通じた東北地方の活性化について発言がなされた。
最後に今井会長より、東北におけるさまざまな取組みを踏まえつつ、経団連として経済新生に向け積極的に取り組んでいくとの総括があった。